こども宅食応援団は、2023年6月から全国10地域にて「親子の支援を語ろうキャラバン」を実施しました。「つらい状況にある親子をなんとかしたい」という思いで、親子の支援に携わる地域の団体がつどい、語り合い、〝地域みんなで親子を支えるつながり〟を深める取り組みです。
こども宅食応援団のメンバーが、地域の皆さんに会いに行き、対話を通して心が温まる場面も多く、素敵なイベントとなった「親子の支援を語ろうキャラバン」について、振り返ります。
2020年から約3年に渡るコロナ禍では、地域コミュニティの源泉であった祭り、イベントなど、あらゆる対面交流の場が失われ、困りごとを抱えたご家庭が、社会から孤立しがちになるリスクが高くなりました。こども宅食への注目度も高まり、地域に根差した活動をされているこども宅食の実施団体の皆さんにとって〝親子のもとへ直接出向き、顔を合わせて話す〟ことの重要性がいっそう強く実感されるようになりました。
そして、2023年10月にこども宅食応援団が設立5周年を迎えました。設立当初は、たった数団体だったこども宅食実施団体も、2024年3月現在で、39都道府県、約200団体まで増え、支援するご家庭の数は約2.7万世帯まで広がりました。
*5周年の歩みはこちら:記念ページ https://hiromare-takushoku.jp/5th/
しかし、私たちが目指すこども宅食の全国普及までの道のりはまだ遠いものです。
そこで、少しずつ日常を取り戻しつつある2023年度は、全国へわれわれから出向き、改めて「地域におけるこども宅食の役割を深めたい」と考えました。また、「こども宅食に限らず、様々な活動を通じて親子を支えている方々の声をもっと聞かせてほしい」という思いから、「親子の支援を語ろうキャラバン」の企画が立ち上がりました。
期間 2023年6月27日~2024年2月28日まで毎月開催(全10回)
開催地域 愛知県、長野県、大分県、徳島県、愛媛県、鳥取県、福井県、山形県、栃木県、大阪府
プログラム
①こども宅食応援団事務局より、「こども宅食とは?」 ②地域の実施団体より、「こども宅食の事例紹介」 ③質疑応答 |
開催日:2023年6月27日
参加人数:32人
「親子の支援を語ろうキャラバン」は、2023年6月27日、愛知県でスタート!第1回目なので、メンバーも少し緊張しました。
こども宅食の事例紹介のパートでは、愛知県で活動される、NPO法人花音と、日進絆子ども食堂のご担当者にご登壇いただきました。また座談会では、社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会と、NPO法人LivEQuality HUBの方々にもご参加いただきました。会の終わりでは、「事例発表をさせていただくことで、自分たちの支援について振り返りや今後について職員全体で改めて向き合う時間ができ、県内のいろいろな団体様との交流はとても刺激的でした。」と感想を伝えて下さいました。
愛知の開催レポート:https://hiromare-takushoku.jp/2023/07/10/5677/
開催日:2023年7月20日
参加人数:約20人
多くの小学校が夏休みに入る時期に開催された、長野でのキャラバン。
歴史的な物価高が続く中、おおよそ一ヶ月にわたり学校給食が無い期間、生活が苦しい家庭をどう支えるのか、子育て支援団体などは、高い課題意識をもって取り組んでいる時期でした。長野県社会福祉協議会の皆さんに開催に向けてたくさんのご協力をいただきながら、親子の支援に関心をお持ちの皆さん、長野市で福祉活動を実施する方々など、約20人が集まりました。
事例紹介をしてくださったのは、長野市のNPO法人えんまるの「こども宅食えんまる便」共同代表の岩間さん。2018年に立ち上げられた訪問型病児保育がはじまりで、毎年延べ100家庭以上にご利用いただく活動をしながら、「助けて」と言えない親子と出会ってきました。県立大学のこども学科さんのプレイルームをお借りし、学生の皆さんと一緒に楽しく、梱包作業をしていることも特徴です。民間の食品企業や、長野市内だけではなく県内、県外のお寺からも食品を寄付していただきながらひとり親の支援をしているお話にも質問が相次ぎ、まさに「つながり」を大切にしている長野の皆さんならではの「困ったときはおたがいさま」と言い合える社会づくりをしたいという温かな思いを感じることができる時間でした。
長野での開催レポート https://hiromare-takushoku.jp/2023/08/22/5829/
開催日:2023年8月29日
参加人数:約20人
大分県のキャラバンでは、小学校近くに開設された、大人もこどもも、気軽に集う事のできるコミュニティカフェ「ゆめカフェ・モンスターのがっこう」代表 の古藤裕理笑さんに、事例紹介を発表いただきました。「市内に3食満足に食べることのできない子どもたちがいる」という現状と出会い、私に何か出来ることはないかとカフェを拠点に活動をスタートしました。現在は、約120世帯の親子に、食品や生活用品のお渡しを行っています。
座談会では地域みんなで親子を支えるつながりをテーマに、大分県社会福祉協議会・おおいた子ども食堂ネットワーク事務局の渡辺さんと甲斐さん、別府光の園 こどもセンター Panem所長の久志さんにもお話を伺いました。
ご参加いただいた方からは、「実体験を元に話を聴けたことで、活動へ感銘をうけ、また大変勉強になった」「出会いを大切にして、つながりを持ち、これからも支援を行っていきたい。困っている方、地域の方ともつながりをもっていき、皆で支援をできたらいいと思った。」などの感想が寄せられました。
*大分でのキャラバンには、大分朝日放送が取材に来てくださり、こども宅食や『ゆめカフェ・モンスターのがっこう』の古藤さんの日々の活動の様子が放送されました!
https://www.youtube.com/watch?v=hcuNX9yZ_RQ
大分朝日放送公式Youtube:困窮世帯に食品を配達 地元企業も協力【ゆめカフェ・モンスターの学校~宇佐市~】
大分の開催レポート https://hiromare-takushoku.jp/2023/09/22/5898/
開催日:2023年9月27日
参加人数:約30人
徳島キャラバンでは、ご登壇いただいたNPO法人Creer(クレエール)理事の喜多條雅子さん、一般財団法人チャイルドライフサポートとくしま理事長の大塚芳紘さん、徳島県こども未来局 こども家庭支援課長の原田敬弘さんをはじめ、社会福祉法人徳島県社会福祉協議会、こども未来局こども家庭支援課 ひとり親家庭等支援担当の方、地元のNPO団体の方など、約30人が集まりました。
喜多條さんは、「こども宅食を開始したきっかけは、こども食堂を利用している子どもたちと日々向き合う中で、食堂に来たいけど来られないご家庭があることが分かったことでした。お弁当や食材を携えながらご家庭へ訪問していると、子ども食堂では見えなかった、”複数の課題を抱える家庭が多い”ということに気づいた」と語りました。
また徳島県副知事 志田敏郎氏にお話いただきました。志田副知事からは「地域に根差した活動のクレエールと、こども宅食応援団の取り組みで、支援を必要とする親子へアプローチする活動がもっと広がると良い」とのお言葉をいただきました。
徳島のレポート https://hiromare-takushoku.jp/2023/10/19/5983/
開催日:2023年9月28日
参加人数:約20人
愛媛でこども食堂に取り組む方や、松山市議会の方、社会福祉協議会の方など、愛媛で親子の支援に関わる方々約20人にお集まりいただきました。事例紹介は、NPO法人 U.grandma Japan(グランマ)の松島陽子さん。こども宅食をはじめられたきっかけは、新型コロナウイルスが流行り出した頃にひとり親の方に現状を伺った際、「学校が休みになり、給食がないから何とかできないか」という声があったこと。
「アウトリーチ型の支援をすることで、内に秘めていた悩みや課題が見えてきたり、住んでいる場所や生活の状況などがより鮮明に見えてきたため、今後の支援の仕方を考えることができた」とお話されました。また、「食を通した支援は、(ご家庭が)応対してくれやすい」とも感じたとのことです。グランマの副代表の折原さんは「たくさんの目があることが気になる家庭を探し出せるのではと思っている」と述べました。助成金だけに頼らずに、継続するための仕組みがあると望ましいとのことでした。座談会には、「教会こども食堂」の森分望さん、「こども食堂のきした」の攝津眞澄さん、「れんこん食堂」の橋本幸子さんにもご参加いただきました。
愛媛のレポート https://hiromare-takushoku.jp/2023/10/20/6044/
開催日:2023年10月23日
参加人数:約16人
鳥取では、ご登壇いただいた、とっとり子どもの居場所ネットワーク“えんたく”コーディネーター福安潤一さん、鳥取市中央人権福祉センター所長の川口寿弘さんをはじめ、鳥取県社会福祉協議会、倉吉市社会福祉協議会、八頭町社会福祉協議会、人権福祉センター、地元のNPO団体の皆さんにお集まりいただきました。
キャラバンを開催した2023年10月の時点で、鳥取県にはこども宅食応援団に登録し活動している団体はありませんでしたが、キャラバン実施後に1つの団体に加盟いただきました。ご参加頂いた皆さんは、こども宅食の取組みを「新たな支援の形」と捉え、熱心にメモをとりながら説明を聴いてくださっていました。
鳥取県内にはアウトリーチ型の支援を行っている団体もあり、特に、訪問で行う支援の強み、利用者さんとの関係をどのように築いていくか、助成金についてなど、より具体的な情報に高い関心を寄せて頂きました。
鳥取レポート https://hiromare-takushoku.jp/2023/12/08/6252/
開催日:2023年11月20日
参加人数:35人
福井県内で親子の支援に関わる35名の方にご参加いただきました。参加された皆さんの所属は幅広く、社会福祉協議会、児童家庭支援センターなどの社会福祉法人、子ども食堂の実施者、フードバンク事業者、居場所事業者、こどもの学習支援事業者、母子会、病院、学校、保育など、福井で親子の支援に関わる団体の皆さんと一緒に語り合いました。
事例紹介でご登壇いただいたNPO法人かさじぞう理事長 吉川美香さんは、「つながり・ふれあい・支えあい・寄り添う事、人と人とがつながりあうことで、次第に心を開いてくれる」とお話してくださいました。「笑顔をまもる傘になる」地域みんなで見守り、支えあう活動が、かさじぞうの原点です。また 「みんなの食堂」実行委員会代表の野尻富美さんは、スタッフが、家庭との交流の中で「困りごとを感じる」ことができるようにつながり続けることが大切と語りました。つながったその先を想像しながら、寄り添っていくことを大切に活動を行っています。
座談会では、越前自立支援協会 児童家庭支援センター 一陽 統括所長の橋本達昌さんにもご登壇いただきました。専門家による「ケア」、吉川さんや野尻さんのような支援者による「チア」、そして、その両者がお互いの状況を語り合って、活動を共有し、支えあう「ピア」。それぞれの立場、役割を活かして専門職と非専門職とが連携をとりあい、お互いに助け合える関係づくりが大切だと語りました。
会の冒頭では、福井ご出身の、こども宅食議連会長稲田朋美様より届いた祝辞をご紹介頂きました。「今後も支援が必要な当事者の声に耳を傾け、支援の届きにくい子供親子の為、アウトリーチ活動の普及継続などに力を注ぎ、全ての人が社会から取り残されず安心して暮らせる国を目指して邁進して参ります」と述べました。
福井レポート https://hiromare-takushoku.jp/2024/02/20/6600/
開催日:2023年12月15日
参加人数:約20人
訪問するご家庭の抱える課題は様々あり、今後、こども宅食のお届け世帯を増やしていく中で、取り組む団体が共に手を取り合い、団体の得意(特性)を活かした支援の形(ネットワーク)を構築し連携することの大切さについて語られました。
また、山形市長よりご挨拶をいただきました。
「山形市では”おやこよりそいチャットやまがた”を開始し、特に支援の必要が高い世帯へは「こども宅食」をきっかけに見守り支援を行なっています。また、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を行うための相談支援機関を開設し、親子がより身近で気軽に相談支援を受けられるよう、体制の強化を図って参ります。」と述べました。
こども宅食の事例紹介をしてくださったのは、山形市社会福祉協議会子どもの居場所づくり支援センターこども宅食相談員の片倉美香さん、特定非営利活動法人クローバーの会@やまがたの樋口愛子さんです。
山形レポート https://hiromare-takushoku.jp/2024/03/15/6773/
開催日:2024年1月20日
参加人数:約20人
宮っこ支援センターSAKURaの事務局、高橋 清人さん、児童家庭支援センターちゅうりっぷ
センター長 福田 雅章さん、子ども食堂サポートセンター・とちぎの荻野友香里さんに、それぞれの活動の事例をご紹介いただきました。栃木県で親子の支援や福祉に関わるみなさま、約20人にお集まりいただき、今何ができるのかを語り合いました。事例紹介のあとの質疑応答でも盛り上がり、会の終了後、「”私にできることをやりたい”と考える大人は、もっともっといるのかもしれない、と感じました。色々なところに種をまき、知らせていきたいです」「宅食がもっと全国に広がり、支援の輪が広がると嬉しいです」といった感想が寄せられました。
栃木レポート https://hiromare-takushoku.jp/2024/03/27/6800/
開催日:2024年2月28日
参加人数:約40人
大阪で親子の支援に関わる約40名の方にご参加いただき、日々の活動への熱い想いを聞かせていただきました。事例紹介では、NPO法人やんちゃまファミリーWith 理事長 田崎由佳さん、大阪府堺市の児童養護施設に併設された、子ども家庭支援センター清心寮・リーフ 相談支援員の安原由依さんにご登壇いただきました。
やんちゃまファミリーWithは、まつばらフードパントリー、まつばらプレイパーク&親子防災、松原市青色防犯パトロール、子ども食堂、訪問型の傾聴ボランティアなど、松原市そして松原市社協など、各機関と連携のもと様々な支援活動を行っています。訪問支援を担当するボランティアスタッフには、あらかじめ研修を行い、訪問家庭と「少しずつ丁寧に」関係性を築いていきます。
リーフでのこども宅食の取組みは、2022年1月よりスタートしました。現在は16世帯を対象に、堺市の家庭児童相談室(以下、家児相)と連携し、支援を必要としている家庭へ食品を届けています。リーフのこども宅食の目的は、支援家庭を「地域のこども食堂につなげる事」です。活動を行うなかで大切にしていることは、「要支援世帯と地域の橋渡しとなること」です。こども宅食をきっかけとして、孤立することなく地域へつながるよう活動を行っています。
座談会では、登壇者の田崎さん安原さん、そして、お母さん業界新聞大阪 お母さん大学大阪支局・えほん箱 プロジェクトリーダー 宇賀佐智子さんにご参加いただき、参加された皆さんと共にお話をしました。お母さん業界新聞は、お母さんによる、お母さんのための共感新聞です。MJ記者(マザージャーナリスト)として全国のお母さんたちが執筆に参加し、子育ての日々やお母さんの本音を、新聞とWEBで配信しています。座談会では、産前産後のお母さんは、孤立感・孤独感を強く感じる時期であり、日常の何げない出来事を、ペンをとり自らの言葉で発信していくことで「母力」が満たされていく。お母さんに「もっと自分に、子育てに、自信をもってもらいたい。お母さんの笑顔は未来をつくる。」と、子育て時期のお母さんへのエールをお話して頂きました。
大阪レポート https://hiromare-takushoku.jp/2024/03/28/6818/
2023年度、9ヶ月にわたり、10ヵ所の地域で開催した「親子の支援を語ろうキャラバン」では、約200人もの皆さんと出会い、語ることができました。
各地で、ご登壇くださった実施団体の皆さん、ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました。ひとつの場所に集まり、お顔を見ながらお話することで、皆さんがそれぞれの地域で思いをもって活動されていることが良く伝わり、胸が熱くなる場面も多くありました。
こども宅食応援団は、これからも全国各地の皆さんと共に、こども宅食の輪を広げていきます!
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