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2023.10.19

【親子の支援を語ろうキャラバン】徳島レポート 「ご家庭へ訪問することで、こども食堂だけでは見えない課題が見えた」

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こども宅食応援団は、親子のつらいを見逃さない社会にするため、「こども宅食」が全国各地で実施されるよう、日々活動しています。2018年末から始動し、たくさんの地域で実施の広がりを見せ、今年の春、全国で実施する団体数は38都道府県、108団体となりました。

そして今年度は、親子の支援に携わる地域の団体がつどい、語り合い、〝地域みんなで親子を支えるつながり〟を深める取り組みとして「親子の支援を語ろうキャラバン」を企画しました。今回は、2023年9月27日(水)に第4回目として徳島で開催された様子をレポートします。

親子の支援を語ろうキャラバン https://hiromare-takushoku.jp/2023/06/08/5622/ 

イベント概要

日時:9月27日(水)14:00~16:00
会場:NPO法人Creer(徳島県徳島市万代町5丁目71-4)

<プログラム>

・開会ご挨拶 徳島県副知事 志田 敏郎氏

・第一部 こども宅食応援団について
 こども宅食応援団 理事 原水 敦

・第二部 こども宅食の事例紹介
 NPO法人Creer 理事 喜多 條雅子氏

市長ご挨拶 徳島市長 内藤 佐和子氏

・第三部 座談会
 NPO法人Creer 理事 喜多條 雅子氏
 一般財団法人チャイルドライフサポートとくしま理事長 大塚 芳紘氏
 徳島県こども未来局 こども家庭支援課長 原田 敬弘氏

 徳島県で親子の支援に関わる皆さんが集まりました       

この日「親子の支援を語ろうキャラバン」に集まったのは、徳島県で親子の支援に関わるみなさん。ご登壇いただいたNPO法人Creer理事の喜多條雅子さん、一般財団法人チャイルドライフサポートとくしま理事長の大塚芳紘さん、徳島県こども未来局 こども家庭支援課長の原田敬弘さんをはじめ、社会福祉法人徳島県社会福祉協議会、こども未来局こども家庭支援課 ひとり親家庭等支援担当の方、地元のNPO団体の皆さまなど、約30人が集まりました。

冒頭のご挨拶では、徳島県副知事 志田敏郎氏にお話いただきました。志田副知事からは「地域に根差した活動のクレエールと、こども宅食応援団の取り組みで、支援を必要とする親子へアプローチする活動がもっと広がると良い」とのお言葉をいただきました。

第一部では、こども宅食応援団の原水から「こども宅食」の概要や取り組む社会課題、また「こども宅食応援団」の活動内容について、動画も交えてお話しました。

――徳島県副知事 志田敏郎氏

・こども宅食とは https://hiromare-takushoku.jp/about/

・こども宅食PR動画
【こども宅食について】https://www.youtube.com/watch?v=ZmGVaiSdBrU
【こども宅食応援団について】https://www.youtube.com/watch?v=KKMnqI4fGGM

――こども宅食応援団 理事 原水敦

 こども宅食事例紹介「NPO法人Creer(クレエール)」    

第二部では、NPO法人Creer(以下、クレエール)理事の喜多條雅子さんに、クレエールが運営する子ども食堂の活動内容と、2020年に開始したこども宅食の事例紹介を発表していただきました。

<クレエールについて>

Creer(クレエール)は、 “信じる” という意味のスペイン語です。 

障害のある人(身体・知的・精神)の可能性を信じ、生き生きと働ける職場づくりを目指して、調理活動のほか、 IT、農業、手工芸、音楽やスポーツ活動、地域交流事業などに取り組んでいます。障がいのあるメンバーがお弁当やレストランの仕事を行っており、子ども食堂を常設して、子ども(幼児から大学生まで)に無料で当日の日替わり子ども弁当を提供しています。子ども食堂の活動を通して、食堂に来られない家庭がいることに気づき、家庭に支援を届けるべく2020年より「こども宅食」の活動を開始しました。行政や地域全体を広く巻き込みながら活動を展開していて、現在ひとり親世帯を中心に約300世帯に宅食の支援を行っています。

NPO法人Creer 公式サイト: http://www.creer.or.jp/

クレエールの正面玄関は、手書きの扉になっていて、温かな気持ちで「おかえり」を表現しています。看板や公式サイトで使われているロゴは、障害のある人・ボランティア・ご家庭・地域社会が連携して、障害のある人もみんなが意欲的に生き生きと充実感を持って暮らせるよう、福祉の増進と共生の社会の発展に寄与するという事業のねらいを表しています。

テーマパークのような雰囲気の子ども食堂では、音楽活動として子どもたちが音楽を聴く機会として、クリスマスや夏休みには、ファミリーコンサートの開催も行われます。子どもや、地域のみなさんにとって優しい時間が流れる場所となっています。

クレエールは、2008年から障がいのある人(身体・知的・精神・難病)の就労の場として、お弁当製造販売、レストランを運営して16年目になります。さらに、2018年7月からは子ども食堂の運営を開始、2020年10月からこども宅食、2021年10月からこども第三の居場所を運営しています。

学生ボランティアの活動と学びの場ともなっており、一緒に遊んだり、ごはんを作ったり、会場設営などの手伝いや、寄付物資の運搬など、大切な仕事をお任せしながら実施しています。

 ご家庭へ訪問することで、食堂だけでは見えない課題が見えた 

こども宅食事業を開始したきっかけは、こども食堂を利用している子どもたちと日々向き合う中で、食堂に来たいけど来られないご家庭があることが分かったことでした。

――投影スライドより

そして、お弁当や食材を携えながらご家庭へ訪問していると、子ども食堂では見えなかった、”複数の課題を抱える家庭が多い”ということに気づいたと語ります。下記はその一例です。

・寒い冬の日、ひとり親家庭で、小学生の子どもがTシャツ姿で留守番をしている(夏と同じ服)

・お弁当と食材のセットを渡すと、留守番の子どもが無言で取り、お弁当を開けて食べ始めた

・シングルマザーのとある家庭、市職員の訪問でもドアを開けないこの家に入れているのはクレエールだけなので、市と学校に連絡して連携した食事の提供と見守りをする

こども宅食を実施することで、初めて見えてきたご家庭の課題に対し、どのように対応すると良いか新しい悩みが出てきたと述べました。

「こどもたちの明るい未来を切り開くには、力が足りない」「今日食品やお弁当を届けても、この子の所に明日は来られない」などを痛感するとともに、物価高や長引くコロナの影響により、支援を求める家庭が急増し、連日こども宅食を行い、体力、気力、財政、食材がなくなっていく状況が続いたと話します。そのような状況で出会ったのが、こども宅食応援団でした。ノウハウの伝授、助成金や食材の提供、質問に俊敏な返し、そばにいるようなオンラインでのすばやいやり取りなど、支援活動を応援してくれるこども宅食応援団がいて、なんとか続けてきたと話しました。

また、日本財団「子ども第三の居場所」にも採択され、2021年には居場所である倉庫をリノベーション。放課後から夜にかけて、子ども達、学生ボランティア、地域の人が集い、温かい食事を共に食べ、過ごしています。地域の子育て拠点として、「みんなが、みんなの子どもを育てる社会」を目指しています。

現在、こども宅食の利用者は500人を超え、昨年のおよそ2倍に増えているそうです。「多くの方の寄付や、食材のおすそ分けが力になっている」と述べました。

第二部の終わりには、徳島市長の内藤佐和子氏からご挨拶を賜りました。

内藤市長は、「徳島市や徳島県で、NPOや企業などの皆さんが子どもたちのために奮闘し、こども宅食のような新しい取り組みも始まり広がっていることに感謝しています。行政としてもしっかりそうした活動を応援していきたい。」と述べられました。

 こども宅食は「いろいろな立場の人が、親子を支える仕組み」 

第三部である座談会では、クレエール喜多條雅子さんに加えて、一般財団法人チャイルドライフサポートとくしま理事長大塚芳紘さん、徳島県こども未来局 こども家庭支援課長 原田敬弘さんと、こども宅食応援団のメンバー、ご参加者みなさんで、どのように地域の親子を支えるかについて語られました。

こども宅食でつながったご家庭の問題が見えても、ひとつの組織・団体で解決することは難しく、地域での見守りや、学校や行政との連携が課題であるなどの指摘も寄せられました。「いろいろな立場の人が、地域の親子を支える仕組み」として、ご家庭とのつながりだけにとどまらず、支援する側のつながりが大切という意見も聞かれました。

 参加した方たちの声            

「学びが多かった、今後の活動の参考にしたい」

「来所型での支援、子どもの居場所づくりをしていて、おうちの環境が気になる点など、共感する部分も多くあった。家庭に訪問にいくというのは勉強になった。これから、こども宅食にも取り組んでみたい」

「学生だけで子ども食堂や第三の居場所に取り組む中で、こども宅食は頭になかったので、自分たちとしてどういうことが実践できるのかを考えてみたい」

徳島で開催した【親子の支援を語ろうキャラバン】は、翌日は愛媛で開催しました。

徳島・愛媛で、全10回におけるキャラバンの5回目の実施となります。こども宅食応援団は、引き続き全国をまわり、地域で親子の支援をされる皆さまとの対話を行ってまいります。

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