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2024.11.22

「助けて」が言えるように こども宅食 赤ちゃん便

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こども宅食応援団では、虐待防止月間である11月【#孤立を生まない社会】をテーマにした特集記事の連載を行っています。

「困っていても”助けて”が言えない人がいる」「必要な支援が届かない現実がある」という社会問題についての認知度を高め、こども宅食応援団が掲げる「今日を生きるこどもたちのために、多様な人々が手を携え 孤立を生まない社会を創る」というミッションについて、皆さんと共に考える特集企画です。

今回はその第2弾として、妊娠期からつながり産前産後の子育てをサポートする「こども宅食 赤ちゃん便」の取り組みを紹介します。

孤立出産・孤立育児を防ぐために「こども宅食 赤ちゃん便」

「こども宅食 赤ちゃん便」は、産前産後に何らかの心配や課題を抱えた家庭に訪問し、食品、オムツやミルク、離乳食といった赤ちゃん用品などを届け、会話をしながら相談援助を行う訪問型の活動です。
2023年度にこども宅食応援団と認定NPO法人スチューデント・サポート・フェイスが連携し、NPO法人フードバンクさがの協力のもと、トライアル事業として佐賀県でスタートしました。そして、2024年度には事業立ち上げのための資金助成も実施し、全国で赤ちゃん便の取り組みが実施されるようになっています。


–こども宅食赤ちゃん便では食品や日用品と一緒にオムツや粉ミルクなどの赤ちゃん用品をお届けします。

赤ちゃん便は、赤ちゃんの見守りを行うことが前提にあることから、玄関先での訪問だけではなく実際に部屋にあがって対話の時間を持つことができます。

赤ちゃんの様子はもちろんお母さんの体調や日常のなにげない出来事に至るまで話相手になり、時には、家計管理の方法をレクチャーしたり、予防接種のスケジュールを一緒に考えたり、保育園の入園手続きに同行したり、また、専門家の相談窓口を紹介するなど、一人では行動を起こしにくい事柄へのサポートも行っています。


–訪問時は赤ちゃんの様子を見守りながら1時間ほど対話します。

対象は、特定妊婦(※)や暮らしにおいて困りごとを抱える世帯です。
対象時期は、妊娠届を提出する妊娠4ヶ月頃~3歳まで。3歳以降も、必要に応じて継続して見守り支援を行います。


※特定妊婦とは、出産後の子どもの養育について、出産前に支援を行うことが 特に必要と認められる妊婦のことです。(児童福祉法第6条の3 第5項)
コロナ渦で母親の困窮や孤立は深刻化し、2020年度には全ての妊婦のうち7人に1人が特定妊婦であることがわかっています。


妊娠・出産期は、精神的にも身体的にもバランスが崩れやすく辛い時期です。
ただでさえ「赤ちゃんとどう向き合えばいいのかわからない」など、不安を一人で抱えている中、経済的困窮という課題が重なり「出産準備品をそろえられない」「ミルク・オムツが買えない」といったさらなるストレスを抱えながら日々を過ごすお母さんも少なくありません。困窮、孤立、病気など、複数の問題を抱え、相談できる身近な知人もなく社会的に孤立した状況下にあることも少なくないのです。

こうした親子の状況は行政等でも把握をしていることがほとんどですが、支援を届けたくても「自分の子育てを否定されるのではないか」「親として失格と思われたくない」など支援を受けることに対して拒否感や警戒感を抱くお母さんもいることから、実際には十分な支援が届けられていないのが現状です。

こうした中で問題視されているのが、虐待です。

厚労省の調査結果によると、虐待死が最も多い年齢は0歳で、このうち月齢0ヶ月は半数に上っています。

虐待死や乳幼児遺棄などの辛いニュースが後をたたない状況と、どう向き合うのか。
いち早い課題解決と支援が必要とされています。

「助けて」が言えるように

Aさんは、2人のこどもを育てるシングルマザーです。パートナーはいません。
赤ちゃん便での訪問をはじめたのは、2人目の妊娠中のことでした。
頼れる実家もなく、行政などの見守りも得ながら出産を控えている状況でした。

そんな中でも産前は、出産を前向きにとらえ赤ちゃんを心待ちにする様子も見られていたのですが、産後、転居をきかっけとして精神面での不安定さが見られるようになりました。
2人の子育てと、新しい環境での生活。体調の変化。そして経済的な不安。次第にバランスをとることが難しくなっていったのです。

心も体も悲鳴をあげ「こどもが可愛くない」と、言葉にだしてしまうまでになりました。

赤ちゃん便の訪問スタッフは、そんなお母さんの思いを受け止め、日々変化する様子に寄り添い、行政や児童相談所とのコミュニケーションも仲立ちしながら伴走支援を行っています。

Aさんのように、産後何かのきっかけで急激に心と体のバランスをとることが難しくなるケースは多くあります。出産前から関係性をつくっておく事ができれば、いつもと違う様子にも寄り添う事ができます。お母さんも「つらい」「助けてほしい」と心の声を言葉にすることもできるようになるのです。

--愛らしい出産準備品などを受け取ると「かわいい!私のためにこんなにもらってもいいんですか?」「赤ちゃんが生まれるのが楽しみになりました」といっきに表情が明るくなります。

新しい命の誕生を喜べる環境づくりを応援したい

こども宅食赤ちゃん便が目指すのは、産前からお母さんの見守りを行うことで、お母さんと赤ちゃんのこれからがより良くなる環境作りのサポートを行うことです。

「私はひとりじゃないんだ」

「相談していいんだ」

心配事があったら相談できる存在がいる。自分の事を見守ってくれる人がいる。そう感じるだけで「孤立」の気持ちが和らぎます。

赤ちゃん便で出会ったお母さんの中には、資格取得を目指して学校で学んでいたのですが、予期せぬ妊娠で断念。一時は次の目標を見いだせずにいたのですが、産後、新たな目標を持ちシングルで子育てをしながら仕事をがんばっているお母さんもいます。

「大丈夫 大丈夫だから」

赤ちゃん便のスタッフは、誰にも相談できずにひとりで困っている親子に寄り添い、安心を届ける。つながり続けることで、命をつなぐことができる。そう信じて活動を行っています。

佐賀県でのトライアル事業からスタートした「こども宅食赤ちゃん便」は、全国の実施団体の皆さんの元へ思いをつなぎ、地域・行政・社協・企業・団体からの理解と協力もひろがり多様なサポートが実施されるようになりました。

「妊娠期からつながることができれば、孤立出産・育児はふせぐことができる」

こども宅食応援団は、親子とつながり見守る「こども宅食赤ちゃん便」を、皆さんとともに全国に広げていきます。

「こども宅食赤ちゃん便」立ち上げへの思いを《こども宅食応援団公式HP》からご覧いただけます

つながることで安心を育む
スチューデント・サポート・フェイス 中山志穂さんインタビュー

届ける支援で孤立を防ぐ   
こども宅食応援団 井内美奈子インタビュー

「妊娠中からつながり、支え、安心して子育てできる環境をつくる」
こども宅食赤ちゃん便の勉強会を行いました

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