こども宅食の取り組みは、現在全国で70箇所以上に広まっています。その殆どが、市内・町内などの範囲で数十名を対象に小規模に行われています。
活動地域を広げ大規模に実施すればより多くの子育て世帯を対象にできるかもしれませんが、こども宅食の取り組みはご家庭とのつながりを持ち関係性を築いていくことに重きを置いて、市区町などの地域で行われることが主になっています。
今回の活動報告では、地域のつながりを大事にした福島県の「あいづ*こども宅食」と福岡県の「のおがたこども宅食みんなのごはん」をご紹介します。
福島県会津若松市の「あいづ*こども宅食」を運営する特定非営利活動法人寺子屋方丈舎は、1999年に学校外の学び場として設立されました。フリースクールを始め、被災児童学童保育、こども食堂、無料学習塾、環境教育事業を行っています。2015年からこども食堂を運営していますが、新型コロナウイルスの感染拡大による食事提供のリスクを軽減するため、新たに2021年3月より食糧無料配布/フードバントリー事業を毎月2回実施しています。
開始当初は7世帯のみの配布でしたが現在では登録数287世帯、毎回約70世帯の方々が利用しています。また7月〜11月には野菜のみの配布を毎週2回実施(計43回実施)し、昨年度(2021年4月〜2022年3月)実績は、66回のべ1,606世帯に配布しました。
他にも夏・冬・春休みには、会津若松市内の飲食店の協力を得てお弁当の無料配布事業「街なかこども食堂」も実施しました。
野菜配布時の野菜は、会津若松市内の湊地区の農家の方々が週末に行う直売所での残りを活用させていただくとともに、JA直売所からも提供いただいています。さらに協力店に依頼して、これらの野菜をお弁当のおかずに利用してもらいました。野菜を循環させる、地域とのつながりを大事にした取り組みです。
利用者からはこのような声を頂いています。
「本当にありがたく思っています。いつもありがとうございます。子どもにもこの活動を伝え、感謝や助け合いの気持ちを教えていけたらと思います。」
「子どもが多く、収入も少ないため、とても助かっております。ボランティアの皆様もありがとうございます。この活動に感謝致します。」
「のおがたこども宅食みんなのごはん」は、日本の子どもの貧困率の高さ、そして、このコロナの影響でさらに経済的打撃を受け、益々社会的に孤立し困っている家庭があることを知り、動き出さずにはいられず、同じ想いの仲間たちと活動を決意し始まりました。子どものころに、近所のおじちゃんおばちゃんに優しく寄り添ってもらった経験があれば、その子たちが大人になったとき、また子どもたちに寄り添える。そんなやさしさが循環する社会を目指しています。
お届けする食品は、お米や水、缶詰や日用品など、地域の有志の方から寄付いただいたものや、地元のパン屋さんからいただいたパンなどを中心に、月に一度、ご自宅まで配達しています。対象家庭は、市内在住で18歳未満のお子さんを持つひとり親世帯の方です。食品の他に、無農薬無肥料で育てた野菜中心のお弁当をボランティアさんが配達日の当日に作り、スープと一緒に家族の人数分お届けします。
まだ利用者のご家庭と関係づくりの途中で、次の支援につなげられたという事例はありませんが、毎月の会話の中で少しずつ話してくれるようになってきました。利用者さんとボランティアさんという関係ではなく、人と人の温かさで繋がる関係でいたい、保護者の方の負担が少しでも軽くなるようこれからも寄り添っていければと思います。
一方では、配達に伺うと涙を流して喜んでいただいたり、「心も体も温まりました」「息子が苦手だった野菜のおかずを食べました」などのうれしい感想をLINEでいただいたりする中で、実は私たちの方が、子どもたちの笑顔や成長を共に喜ばせてもらい、幸せをお裾分けしてもらっているようにも感じています。
一緒に活動している仲間、私たちの活動を知って寄付品を持ってきてくださる方々、みなさんの深い愛情と優しさが活動の源になっています。
地域で子育てを行い、つながりを循環させていく2団体の活動をご紹介いたしました。
こども宅食応援団では、全国のこども宅食を実施したい自治体・社会福祉協議会・NPO法人等に、こども宅食の立ち上げや実施のノウハウの提供や、立ち上げ資金や食品等のサポートを行い、こども宅食を全国に広げていく活動を行っています。
こども宅食が全国どこにでもあって当たり前の支援となるよう、応援よろしくお願いします。
こども宅食を応援したい
こども宅食をやりたい・知りたい