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食をきっかけに紡いだ、こども宅食と子育て世帯の繋がり【宮城・徳島活動報告】

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こども宅食では、生活に困難を抱える子育て家庭への支援の第一歩として、「食をきっかけに繋がる」ことを大事にしています。

手ぶらで見知らぬ人が突然訪ねていっても、警戒心などもありなかなかドアを開けてもらえないこともありますが、食品のお届けをきっかけにすることで、スムーズにドアを開けてもらえ、ご家庭とのつながりを築くスタートラインに立つことができます。

 

今回は、食品のお届けをきっかけに徐々にご家庭との関係性を築いていった、宮城県の「わくわくデリ」と徳島県の「クレエール子ども食堂宅食便」の活動をご紹介します。

地域で子育て家庭を支える第一歩に――わくわくデリ【宮城県涌谷町】

宮城県涌谷町で「わくわくデリ」を運営するNPO法人アスイクは、東日本大震災後に避難所や仮設住宅で生活する子どもたちの居場所づくりを始め、震災によって浮き彫りになった子どもの貧困問題に取り組んできました。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、つながりのあったひとり親家庭などから「学校の給食がなくなって食費が苦しく、一日一食で耐えている」、「仕事が減らされてしまって、ただでさえ苦しいのに生活が成り立たない」といった声が数多く寄せられたことから、緊急食料支援プロジェクトを開始。1年間でのべ4,000世帯以上に食品を届けながら、さまざまな相談にのり、必要に応じて支援機関や制度に繋いできました。

緊急支援的に始めた取り組みでしたが、食品を切り口とすることで、音信不通になってしまったご家庭と連絡が取れるようになったり、ご家庭に直接伺うことで学習支援の教室などでは見えない家庭内の困りごとなどが見えてくるようになり、この取り組みの有効性を実感。

コロナ禍の緊急支援で終わらせるのはもったいないと感じている時に、涌谷町から協働のお声がけをいただき、自治体の委託事業として保健師さんと連携しながら宅食活動をつづけています。

――訪問しているご家庭の保護者がアスイクのロゴを作り、カレンダーに貼ってくださっていました。毎回の訪問を楽しみにしてくださっているそうです。

保健師さんや学校の方からも、「この事業のおかげで子どもたちやご家庭の状況が以前よりも分かるようになり、地域で子育て世帯を支えやすくなった」とポジティブな声をいただいています。

 

こども宅食2年目を迎えて――クレエール子ども食堂宅食便【徳島県徳島市】

NPO法人Creer(クレエール)は、障がいのある人が働いて自立できるようにすることを目的に、2008年の設立以来レストランの運営を行ってきました。

障がいのあるスタッフの努力やお客様のおかげで、設立10年を迎えた2018年には、全国でもトップクラスの平均賃金を支払えるようになり、地域に恩返しをしよう、自分たちが身に付けた調理の技術を活かそう、と高校生までは無料で利用できる子ども食堂を始めました。平日毎日と第4土曜日、年間約280日子ども食堂を開き続けています。

2021年末までに延べ2万人の参加者があり、みんなが楽しく過ごしています。

でも、活動をしていく中で、子ども食堂まで来られない子ども達がいることがわかりました。

ある日の夕方、小学生の男の子から「子ども3人で留守番しているんだけど、僕だけが自転車で行くので、弟たちの分もお弁当をください」と電話がかかってきました。

お弁当を準備をして待っていましたが、その男の子は来ませんでした。小さい弟を置いて家を出られなかったのかなあと気になっていました。

 

そんな時、こども宅食の取り組みの話を聞く機会があり、こういった支援が必要な家庭があると考えて、Creerでもこども宅食を始めることにしました。

SNSとHPで呼びかけたところ、10日ほどで50世帯の家庭から申込みがありました。ひとり親など、生活に困難を抱える家庭ばかりです。

 

そして2020年10月16日、クレエール子ども食堂宅食便がスタートしました。

大変困窮している家庭が多く、子ども食堂が18時に終わってから、毎晩毎晩21時頃まで配達をしました。せっかくたどりついても居留守を使われたり、約束の時間に留守だったりということも多くありました。

その間にも申込者は増え続け、2か月間でのべ1,112世帯にこども宅食をお届けし、未経験のいろいろなケースや場面に遭遇しました。こども宅食応援団の伴走支援で、対応方法や一つ一つの受け答え、相談支援、連携すべき支援機関、こんな時はどうする?というケース共有・相談など、夜中まで教えてもらいながら対応しました。小さなNPOが行う社会貢献としては負担が大きく、寄付を募ったり食材提供を呼びかけたり、必死に続けてきた立ち上げ期でした。こども宅食応援団からの、助成金とノウハウ提供の物心両面の支援がありがたかったです。

現在、こども宅食事業の開始から1年3か月目を迎え、宅食便の手法も身についてやっと慣れてきたところですが、またコロナ禍で、生活にお困りのひとり親家庭などから新規申込みが増え、現在200世帯近い家庭に宅食の支援を実施しています。

 

 初めて訪問するご家庭に伺うときは緊張します。2人組で、申込み時のヒアリングシートをよく読んだ上で笑顔で訪問します。お子さんが顔を出してくれなかった時のために、お菓子とジュースのセットは必ず持っていきます。

子どもや家庭との関係ができてきたら、ほっとします。子ども食堂での楽しい催しなどを紹介し、「毎日開店しているからいつでも来てね」と来店を勧めます。来てくれたら、ご飯もあるし、学生や退職した先生たちが無料で勉強を教えます。

来店するようになった家族は、いろんな人とつながり、大家族のように、温かいご飯を一緒に大テーブルで囲みます。仕事やいろいろな事情で、子ども食堂への来店はできず、宅食のみの家庭も多いですが、馴染みになったスタッフがお伺いして、近況や困りごとはないか聴きます。

昨年の12月は、Amazonのほしいものリストに登録していた品が、毎日続々と贈られてきました。

おひとりで150個のクリスマスブーツをプレゼントしてくださった方や、必需品のティッシュを大量に送ってくださった方、200個のシュークリーム、大量のジュース、お菓子、おもちゃなど、それはそれはもう毎日宅配便の配達がすごかったです。

そこで、12月は月1回の通常便に加えて、クリスマスプレゼント宅食と冬休み応援宅食2回を増便し、計4回配送を実施しました。

 

ところが、年が明けて、Amazonのほしいものリストを見てプレゼントを送ってくれる人が少なくなりました。さらに厳しい寒さで地域の農産物にも影響があり、個人や生産者さんからの食材提供が激減し、物資不足に陥ってしまいました。

そんな折、こども宅食応援団からたくさんの食材が送られてきました。おかげで1月も無事に宅食を終えることができました。いつも力強く支えてくださり、困ったときは、LINEで気軽に相談でき、本当にありがたいです。

 

そして、とてもうれしい知らせが、シングルマザーの利用者さんからありました。

「就職できました。子どもも幼稚園に上がったし、手がかからなくなってきました。仕事頑張ります。いつかクレエールさんに恩返ししたいです。私は宅食はもういいので、もっと困っている家にあげてください。」というものでした。

「おめでとうございます!就職のお知らせとてもうれしいです!!ずっと応援していますから、いつでも必要な時は知らせてくださいね。クレエールに恩返ししなくていいから、いつか誰かに返してくれたらいいですよ」

これからはあまり会えなくなってしまい寂しいですが、卒業はとても喜ばしいことです。春はまだですが、とてもほっこり、暖かい気持ちになりました。

私たちは、また新たな家に向けて、今日も多くの人からの贈り物を積んで車を走らせます。


わくわくデリの支援を通じて、少しずつ地域とご家庭がつながっていく様子と、クレエール子ども食堂宅食便の立ち上げからここまでのストーリーをお届けしました。

初めはなかなかコミュニケーションを取るのが難しく心をひらいてくれるご家庭が少ない状況から始まることも多くありますが、食をきっかけにご家庭とつながり、継続的なやり取りを繰り返すことで徐々に心を開いてくれる様子が伝わってきます。

 

こども宅食応援団では、繋がるきっかけづくりであり、ご家庭に笑顔を届ける食品等を全国の団体に提供したり、食品等の購入のための費用の助成を行っています。

こうした活動はみなさんからの寄付によって支えられています。こども宅食応援団へのご支援、どうぞよろしくお願いします。

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