こども宅食は、フードパントリーや子ども食堂、学習支援などの、他の食支援や居場所支援と併せて行われているケースが多くあります。
コロナ禍で一堂に会する支援が実施しにくくなってしまったことや、人と会う場所で支援を受けたくない人など、既存の支援では手の届かなかった網目の隙間を、こども宅食が埋めることができます。
今回は、こども宅食以外の活動と併せて行われている団体の活動をご紹介します。
青森県八戸市・階上町(はしかみちょう)では青森県社会福祉協議会を中心に、「ふれ愛あおば食堂」をはじめ10団体(2021年10月末時点)が協力し、各所でパントリー形式・配達形式などで「八戸こども宅食おすそわけ便」を実施しています。
定期的に食品等を届けることにより、社会的に孤立しがちな子育て家庭とつながりをつくり、必要な支援に結びつけ、小さな変化にも気づきやすい関係性を築くことを目的とするものです。
お渡しする際には、支援する関連機関のチラシを同封するなどしており、実際に新しい支援へ結びついたという事例もあります。
2020年12月から始まったこの活動。ご支援をいただく幅も広がりました。企業からの大口支援だけではなく、個人的に毎回たくさんの寄付をしてくださる方もいます。
社会全体として困っている方々を助けたいという気持ちも含め、より必要な方に必要とされる支援を届け、結びつくよう、今後も新型コロナウイルス感染症の状況も踏まえながら居場所づくり活動を継続していきたいと考えています。
一般社団法人パーソナルサービス支援機構は、だれもが希望をもって一歩を踏み出し、自分らしく生き続け、個性を大切に活躍することのできる社会や環境づくりをおこない、人や地域との「出会い」や「つながり」を大切にした包括的な支援を行っています。
その中でアウトリーチセンター「ふらっと」では、ひきこもりのご家庭の訪問支援や、児童見守り事業として毎週定期的に食料や日用品など、希望をお聞きして宅配しています。
この夏、新型コロナウイルス感染症で地域の活動が何もできませんでした。
地域の子どもたちと大人の交流の場を持つことができなかったので、10月に秋祭りを2か所で開催しました。
子どもたちの元気な様子を伺う傍ら、最近どんなことで悩んでたかなどのお話しを聞かせてもらうことができました。
また先日訪問先であったちょっとうれしい話をご紹介します。
子どもの成長が早くて、制服を新調することすでに2回。
今の制服が着れなくなり、恥ずかしくて不登校になったお子さんがいました。本当は学校に行きたいのに……。
それに、もうすぐ修学旅行。でも、生活に余裕はなく制服を新調できないとのこと。
その話を聞き、団体の基金から新調代を用意し、無事、制服を新調して修学旅行に行ったお子さん。「修学旅行、スゴく楽しかった!」と笑顔で伝えてくれました。
その笑顔を見れただけで充分です。
同じようなケースが別の自治体からも相談があったのですが、「支援していただいても学校に行けるか分からないから……」と遠慮気味でした。
でも、私たちが支援するとき、そんなことは判断材料にしません。
今、学校に行けない理由が「制服が小さい」ということなのですから、制服を準備してただみんなと同じ状況にするだけ。「せっかく新調したのだから行ってよ」とプレッシャーをかけることもないし、行けなかったら行けないで、その時はその時、と考えています。
結果、その子も学校に行くことができ、修学旅行にも行けたと役場の方から報告を受けて、本当にうれしい気持ちになりました。
これからも、民間団体だからこそ出来ることを追求していきたいと考えています。
つなひきこども宅食では、近所の主婦が中心になり、地域の食堂を活用した安全な食事を提供する活動を行っています。
また、こども宅食の他に無料塾による居場所支援を行っています。
子どもたちに無料で朝食を提供し、勉強を教える無料塾「つなひき無料学習塾」の取り組みは、今年1月でちょうど5年目を迎えました。
「子どもたちは地域の宝」と掲げる与那原町や、新島区在住の有志によるボランティア活動です。
「朝の忙しい時間に気持ちを整えて元気にそれぞれの学校へ通ってくれる子どもたち」を願い活動しています。
今では、「与那原町子どもの居場所づくり事業運営補助金」も活用し、食事内容が益々充実したほか、パソコン教室、お誕生日会、マジックショー、クリスマス会、親御さん代役の授業参観など活動が広がりました。最近は一時預かり保育も行っています。
「つなひき無料学習塾」では、町、個人、地元農家や地元企業等の協賛を得ながら、会社員や学生等が講師を務めます。
夏休みは給食が無いので、8月15日には町の母子寡婦福祉会と協力してカレー弁当を作って配布しました。
10月24日には、与那原町母子会寡婦会員とつなひき無料学習塾の保護者様向けに古着屋お弁当の配布会も行い、大盛況でした。
ご家庭やお子さんによって、また、その時々によって必要な支援は様々です。
学習支援や子ども食堂のような居場所が必要なとき、こども宅食のように他の人と顔を合わせることのない支援が必要なとき、フードパントリーのような自ら出向くような支援が必要なとき。
どれか一つの支援があれば十分なのではなく、人によって、その時によって、必要なかたちを選ぶことができるよう、様々な支援が地域にあり、セーフティネットの網目を細かくしていくことで、支援から取りこぼされてしまう人を減らしていくことができます。
こども宅食のような、周囲に知られずに受けられるアウトリーチ型の支援は、まだまだ全国に浸透しているとはいえない状況です。
こども宅食応援団は、こども宅食の活動が全国に広がっていくよう、実施団体に向けた立ち上げ支援や伴走支援を行っています。
こども宅食が全国に「あって当たり前」になるよう、応援よろしくお願いします!
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