こども宅食が支援するひとり親家庭や経済的困難を抱えたご家庭では、1日3食の習慣が無かったり、食事を作れる人が居なかったりと、基本的な食事の用意が難しい場合があります。特に学校給食のない夏休みには、子どもたちの栄養の偏りが懸念されます。(※出典:内閣府公式サイト 「 平成28年度 子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書 」)
全国のこども宅食では、楽しい食育活動を通して食の大切さを知ってもらおうと、様々な取り組みが行われています。
今回は、不足しがちな野菜を、子どもたちに楽しくおいしく味わってもらおうと工夫をこらした、全国のユニークな活動をご紹介します!
長野県長野市で活動するこども宅食えんまる便では、「夏休みの思い出のプレゼント」として、子どもたちを「とうもろこし収穫体験」にご招待。
とうもろこしの名産地・長野県信濃町で農園を経営するフーズネットながの株式会社にご協力いただき、ひとり親家庭のお母さんと子どもたち22名が参加しました。
とうもろこしの採りかた、おいしくいただく調理方法など、それぞれガイド役の学生さんに教えてもらったら、いざ収穫開始!
――初めての生とうもろこしに、おっかなびっくりの子も。
「この農場のスイートコーンは、生でもとてもおいしく食べられるので、収穫したら皮をむいて、ぜひ食べてみてくださいね!」という説明に、「みずみずしい!あまい!一本すぐに食べれちゃうね~」と大喜びで、そのまま一本、あっという間にペロリと食べてしまった子もいたそう。
収穫が終わったら、次はお待ちかね、焼きたてのとうもろこしです。
「山と、とうもろこし畑を見ながら、おいしい焼きとうもろこしが食べれて、母さん最高だね!!」と、小6の男の子。お母さんたちからも、「信濃町のとうもろこしは本当に凄いね!」と喜びの声が上がりました。
参加してくれたお母さんたちからは後日、
「子どもにとって良い体験ができました。たくさんのお土産もいただいて。家族みんなで出かけられて良かったです!」
「子どもたちがとても楽しかったようで、早速夏休みの日記に書いていました!」
と嬉しい感想も。
地域で採れる新鮮な野菜の収穫から、素材そのものの食感や味の違いなども体験し、楽しくおいしい食育につながるイベントとなりました。
宮崎県宮崎市で活動するフードバンクみやざきでは、「コロナ禍でも、安心して子どもたちに自由にのびのびと遊ぶ機会を提供したい!」と、いちご農家さんにご協力いただき、子どもたちをいちご摘みにご招待。
いちごの香りであふれる広いビニールハウスの中で、摘み放題のいちごを前に、子どもたちは大興奮。「ね~ね~、みんなの写真撮りたい!お友達とこうしていちご狩りするのは初めて!」とはしゃぐ声に、スタッフも嬉しい気持ちになりました。
フードバンクみやざきでは、食品を提供してくれる農家や企業とパートナーシップを組みながら、貧困対策・フードロス対策の垣根を越えて、さらに発展的な循環型の食支援の仕組みが作れないかと、試行錯誤中です。「関わってくれる支援者さんたちが、それぞれハッピーな気持ちで支え合えるように」。その取り組みの一つとして、いつもお世話になっているキュウリ農家さんでのハウスビニールの張り替えや、キュウリの収穫後の片付けをスタッフがお手伝いしました。
――キュウリ収穫後のビニールハウス内
また、フードバンクみやざきでは、地域の休耕地を耕し、地元の住民と一緒に稲植えから収穫まで行い、そうして取れたお米をこども宅食で届ける活動も行っています。3月に植えた稲の収穫にスタッフも参加しました。
――子どもや学生もたくさん参加し、稲刈りは地域の大イベントに!
稲植えから稲刈りを通して、地域住民と一緒に、一つのコミュニティが生まれています。まちづくりと食支援のシナジー効果! これからの展開が楽しみです。
佐賀県小城市で活動する、こども宅食にじいろ便。育ち盛りの子育て世帯の「困った!」を一緒に考え、解決にむけてサポートしています。
コロナ禍で外出も制限される中、子どもたちの楽しい夏の思い出づくりを、食を通してお手伝いしました。
7月には、家族みんなでお好み焼きパーティーができるよう、キャベツ、粉、ソースのセットをお届け。
――パーティーには欠かせないお菓子もたくさん。
8月には、カボチャ、玉ねぎ、茄子と、たくさんの野菜をお届けしました。真っ赤に熟したスイカも!
――やっぱり、夏といえばスイカ!
猛暑続きだった佐賀の夏、疲労回復作用のある成分がたくさんのスイカで、疲れた身体の癒やしになったらいいな……というスタッフの想いが込められていました。
東京都足立区で活動する「あだち・わくわく便」では、「八百屋×地域コミュニティ」をコンセプトに同区で子どもたちに野菜の提供支援を行っている古民家「野菜日和」に協力いただき、これまでに合計80㎏以上の野菜をひとり親世帯などに届けています。
お届けした野菜は、「野菜日和」が以前災害募金で支援し、交流のある山形県や茨城県の農家からいただいたもの。休校で食生活が不安定になっている家庭を支援したいという、みんなの想いが形になりました。
これまでにお届けした野菜は、シイタケ、人参、レタス、小松菜、そして、山形の「最上伝承野菜」のひろっこ、雪割菜など。めずらしい野菜を見て驚く子どもたちの顔が目に浮かびます。
最後にご紹介するのは、熊本県でこども宅食を提供している「熊本県ひとり親家庭福祉協議会 てとてとて」の、「オンライン子ども料理教室」です。
「ひとり親家庭の子どもたちの自立と食の応援、ひとり親家庭のつながりをつくりたい」と企画された今回のイベント。全3回に渡り、岩手と熊本、両被災地の子どもたちがオンラインで料理に挑戦しました。教えてくれたのは、神奈川県のオーガニック料理教室「ワクワクワーク」の講師・スタッフのみなさん。
5月に開催された一回目の料理教室には子どもたち総勢24名が参加し、火や包丁を使わず簡単・楽しく料理ができる、おにぎり、味噌玉、キャベツのナムルを作りました。
「洗ったキャベツを味見してみて、葉っぱの先と芯に近いところで味が違うの分かるかな?」
「おにぎりを握るときは、全体をまとめるように、お・に・ぎ・りと4回にぎってね」
パソコンの画面越しに、講師の先生からのアドバイスが聞こえてきます。
――パソコンの前で料理に取り組む。
2回目の料理教室では、包丁の使い方や食材の切り方、キュウリのアクの取り方など料理の基礎を学びながら、子どもたちの食への興味を刺激。
「キュウリのアクをなめてみるとどうかな? ちょっとなめてみて」
「わ~美味しくない」「あんまり好きじゃない味」
「このひと手間をかけるだけでさらに美味しくなるんだよ!」
などなど、野菜についての理解も深めながら、おいしい料理が完成しました。
8月に行われた、オンライン料理教室最終回のテーマは「お鍋でご飯を炊いてみよう」。
鍋炊きご飯を食べた子どもたちからは、「甘くておいしい!」「ごはんが美味しい!」と驚きの声が次々と。
ご飯のお供には、旬のナスを使った夏野菜のお味噌汁を。さっそく夜ご飯にお味噌汁を作って、家族にふるまった子もいたそうです。
全国から寄せられた、野菜に関する取り組み、いかがでしたでしょうか? 密にならない場所でのイベントや、オンラインでの料理教室など、それぞれの団体がコロナ禍でも様々な工夫をしながら、子どもたちの食と健康を支えています。
こども宅食は、定期的な食品のお届けを通じてご家庭と繋がりを保ちながら、困り事などの相談があったときには必要な支援へとつないでいく見守り支援の活動です。
こども宅食応援団では、そうした全国各地のこども宅食実施団体への立ち上げ支援や、ノウハウ、物資提供などの伴走支援を行うことで、こども宅食の取り組みを全国に広げる活動を行っています。
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