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2021.08.02

「全国の親子のために“つらいを見逃さない”事業と政策をつくる」第2回全国こども宅食サミットで行われたワークショップ内容を紹介します!

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2021年4月13~14日の2日間にわたり、「第2回全国こども宅食サミット」がオンラインで開催されました。今回は、2日目に行われたワークショップ「全国リーダーズと一緒に社会を変える!全国の親子のために”つらいを見逃さない”事業と政策をつくる」の模様をお届けします!

この日は30名以上の参加者を4~5人のグループに分け、以下の2つのテーマについてディスカッションをおこなっていただきました。

・対象家庭が抱える「本当の課題(ニーズ)」に向き合うために、コミュニケーションを取るうえで気を付けていること

・対象家庭の「本当の課題(ニーズ)」を満たそうとしたとき、地域にない社会資源をどのように創り、どのように継続させることができるか

この記事では、実際のディスカッションの内容を1テーマ1グループずつピックアップしてご紹介します。こども宅食実施団体はどのようなことに悩み、さまざまな課題をどのように乗り越えてきたのでしょうか?

1.対象家庭が抱える「本当の課題(ニーズ)」に向き合うために、コミュニケーションを取るうえで気を付けていること

長崎市版こども“宅所”つなぐBANK事務局長 山本倫子さんが中心となったグループでは、利用者さんと信頼関係を築く方法について活発な意見交換がおこなわれました。

訪問してもなかなか相談に至らない

こども宅食実施団体がご家庭を訪問しても、ただ食品を届けるのに終始してしまい、なかなか具体的な相談につながらないケースは少なくありません。そのため、実施団体の皆さんは、時間をかけて少しずつ信頼関係を構築することを心掛けているそうです。

 

具体的には
・最初から悩みを聞き出そうとするのではなく、世間話から始めて警戒を解いてもらう
・同じ配送員が繰り返し通うことで、少しずつ慣れてもらう
・押し付けがましくならないよう、「よかったらもらってください」というスタンスで食品や物品をお渡ししている
・ドアを開ける前から笑顔で、親しみやすく優しい雰囲気を感じてもらえるようにする
といった方法でアプローチしているとのこと。

 

また、12月には「サンタさんが訪問するのでお子さんに会えるようにしてください」とメールすることで、すべてのご家庭のお子さんに直接会って状況を把握するのに成功したという団体の方もいらっしゃいました。

――サンタによる訪問を行った団体の様子

長崎市でこども“宅所”事業をおこなう山本さんは、隠れた課題を見つけるため、対面のコミュニケーションに加えてチラシを渡しています。チラシには「法律相談」「就労相談」ではなく「養育費相談」「成長、言葉の相談」のように具体的な文言を書くことで、「自分のことだ、このことを相談したい!」と思ってもらえるように工夫しているそうです。 

卒業の仕組みについて 

ディスカッションが深まるにつれ、話題は「対象家庭にいつ・どのように“卒業”してもらうか」に移行していきます。

 

支援を求めているご家庭は地域に多く、特定のご家庭だけを支援し続けるのが難しい現状から、多くの団体はサポートを通して対象家庭の自立を促すことをゴールとしています。しかし、実際には「つなぐ先が見つからず、自分たちで対応するしかない。安心して卒業してもらうにはまだまだ道のりが遠い」という悩みも。

こども宅所を運営するつなぐBANKは、市内に対象世帯が多いので最初から「1年間の支援事業です」と明記して開始。多くのご家庭が「1年間本当に助かりました。次は他の方がこの支援を受けられますように」と卒業し、相談があればまたLINEなどで連絡をし合える関係になるそうです。

また、宅食で接するなかで課題が重いと状況がつかめてきた家庭については、行政や専門機関の次の支援につなぐなどの対応も行っています。支援を通して隠れている“本当の課題”を発見し、他機関と協力しながらその課題解決に取り組むことが課題解決のカギとなりそうです。 

2.対象家庭の『本当の課題(ニーズ)』を満たそうとしたとき、地域にない社会資源をどのように創り、どのように継続させることができるか

「対象家庭のニーズを満たす社会資源の創り方」がテーマに掲げられた2回目のディスカッション。地方の実施団体の代表者が集ったあるグループでは、各団体が抱えている悩みの共有が話題の中心になっていました。 

財源の確保の難しさ

こども宅食が含まれる「支援対象児童等見守り強化事業」の補助率は10分の10で、自治体の取り組みにかかる費用は国が全額を補助します。ところが、自治体が予算確保を躊躇したり、地域団体に相談することなく予算を組んだりすることで、実施団体が資金不足に苦しむ現状が浮き彫りに。ディスカッションの参加者からは「人件費無しで、40万円の予算で400世帯を回ってほしいと言われて困ってしまった」という声も聞かれました。 

地域にない社会資源を創り、継続させるためには十分な財源の確保が必要です。自治体には対象家庭や実施団体のニーズをきちんと把握し、それに応じた十分な予算を確保する役割が求められます。

自治体や他機関と連携が取れない

対象家庭の“本当の課題”を解決し自立をサポートするには、自治体や他機関との連携が不可欠です。しかし、実際には連携がうまく取れないことに悩む実施団体は少なくありません。

今回のディスカッションの参加者も、
・「実績がないから」と門前払いされてしまった
・「子どもに会えないので学校での様子を教えてほしい」と申し出たが断わられた
・家庭訪問で見つかった課題を自治体や社協(社会福祉協議会)に連絡したが、具体的な対応はしてもらえなかった
といった経験をしてきたそう。また「自治体の子ども家庭課に相談に行ったら『見守り強化事業の予算を取っていないので難しい』と言われてしまったが、せめて『民間でそういうことをやっているならここと連携しては?』『こういう制度がありますよ』と教えてくれるとありがたい」という意見も挙がりました。 

活動を通して出会ったご家庭の様子

また、このグループのディスカッションでは、全国の対象家庭の切迫した様子が共有されていました。その一部をご紹介します。

 

・親御さんが字を書けず、家もお子さんが勉強できる環境ではない

・家の中がゴミだらけになっている

・挨拶や身支度といった、社会で生きていくうえで必要なスキルを教えてもらっていない

・お風呂に入っていないため、子ども食堂に呼んでも外に出られない

・親御さんが仕事をせず、家族全員が未成年のお子さんひとりに経済的に頼っている

・お子さんに会わせてもらえず、家庭内の状況がわからない

 

このほかにも、全国にはさまざまな悩みや課題を抱えた親子がいます。そうした親子を救うには、こども宅食実施団体だけでなく自治体、社協、学校、病院などの複数機関が協力し合い、一丸となって課題解決にあたることが欠かせません。今回のディスカッションのレポートが、その重要性を改めて認識していただく機会になれば幸いです。 

書いた人:小晴
テキスト起こし:ブラインドライターズ


2日間にわたり第2回全国こども宅食サミットを開催しました。

全国のこども宅食事業者がオンラインで集まり、先進事例を聞いたりケース対応を共有しあったり、制度のアップデートについて議論するなど、両日ともこれからのこども宅食の活動をより良いものにしたい、という熱い思いにあふれていました。

 

こども宅食応援団では、こうした全国のこども宅食実施団体同士のネットワークづくりや、スムーズに活動が行えるような情報提供やロビイング(政策提言)などを行っています。

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