「とどける 、つながる、つなげる こども宅食」。こども宅食は、食品をお届けするだけの食支援活動ではなく、配送を通じてご家庭と繋がり続けることで、信頼関係を築き、困りごとに気付いたときには適切な支援に繋げていく、アウトリーチ型の支援です。
こども宅食をただ届けるところから、ご家庭はどのように「つながって」いくのでしょうか。
今回は宮崎の『日南っこ(ひなっこ)宅食』と香川の『子ども宅食「アジール」「ポコアポコ」』の活動をご紹介します。
日南っこ宅食は、昨年12月に第1回目の配送を行い、こども宅食事業をはじめました。
町の個人の方や企業の方から食品のおすそ分けを頂き、毎月約30世帯に宅食を実施しています。
日南市レクリエーション協会のみなさんにボランティアで協力していただきながら活動しています。
レクリエーション協会のみなさんは行動力が素晴らしく、食材の仕分けから配達まで、スムーズに行われました。
「少しずつ利用者の方と話せるようになってきてたくさんの笑顔を見ることができ、この活動に参加して良かった」とボランティアへの参加の魅力や、こども宅食の意義を感じていただいているようです。
利用者さんも「レシピを付けてくださることがとても役に立ち、助かります」「こんなにたくさんありがとうございます」と嬉しそうに話しながら受け取られていました。
配送時、子どもたちは引きこもりがちな様子でしたが、こども宅食のお届けを重ねるごとに徐々に顔を出してくるようになり、「わ~、ごちそうや」と喜んでくれるなど、今では笑顔で挨拶してくれるような変化が見えてきています。
子ども宅食「アジール」「ポコアポコ」は、香川県の小豆島で、お弁当の宅食や調理補助などの活動をしています。
人口約1万3000人の島という地域環境から、「貧しい家の子が食事をもらう」というレッテルが貼られないよう、希望があればどのおうちのお子さんにも配食をしています。といっても希望者が殺到することはありません。
2020年10月1日~2021年3月31日の半年間では、560食をお届けしました。週平均2~3日で、1週間に20食強になると思います。
「食をきっかけに繋がる」というこども宅食の特徴のとおり、届け先の子どもは宅食をきっかけに気軽に会話してくれるようになり、「今日は何?」と笑顔で聞いてきたり、自分の好物や苦手な食べ物を話してくれたりと、だんだん会話が広がるようになってきました。
また、その変化は言葉だけではなく、だんだんと柔らかい表情で受け取るようになってきたり、配送を外で待っていてくれるようになったご家庭もいます。
配送を行うにつれ、困り事や悩みを聞かせてくれるご家庭も増えてきました。お届けに伺う時間が、お母さんの悩みを吐き出せる時間になっているようです。
お子さんが完全不登校になっているご家庭では、こども宅食の他に実施している居場所事業にも参加するようになってきて、親御さんの「本当は外に出してやりたい」という気持ちも伺えるようになりました。
調理補助を通じて自立の道を進もうとしている利用者が、社会福祉協議会の自立相談に繋がることもありました。
こうした活動を続けてきたことで、段々とこども宅食の活動に対する認知が広がっていき、地域の方から「ちょっと心配なおうちが……」と相談を受けるようにもなりました。
「こども宅食」という素晴らしいツールを使うことで、心がつながり、開いていき、交流が生まれている結果を感じています。
日南っこ宅食のボランティアとの温かい交流や、アジール・ポコアポコのこまめな活動で、少しずつご家庭との関係を築いてきた様子が伺える活動報告でした。
こども宅食の活動が、全国どこにでも当たり前にある支援になるよう、こども宅食応援団は立ち上げ支援やロビイング等の活動を行っています。
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