経済的に厳しいなどの困りごとを抱えた子育て家庭に定期的に食品を届けながら見守り支援を行う「こども宅食」は、現在28都道府県で実施され、全国で約10,000世帯がこども宅食を受け取っています。
多くの実施団体ではご家庭に届ける食品を、企業等からの寄付で得ていますが、継続的に一定量以上の食品を獲得し続けることが難しく、こども宅食を実施する上での課題のひとつになっています。
この度、総合食品卸売会社の株式会社日本アクセスと、こども宅食応援団の関連団体である認定NPO法人フローレンスの2社が協働し、大手食品メーカー各社から協賛いただいた食品等を全国の子育て家庭へ食支援を行う取り組み「こどもフードアライアンス」を1月下旬よりトライアル実施することとなりました。
この取り組みでは、こども宅食応援団を通じて、全国のこども宅食を実施する65の支援団体へ食品を配送いたします。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済的打撃は、経済的な困難を抱えるご家庭をさらに深刻な状況に追い込んでいます。
厚生労働省によると、生活困窮者から各自治体の「自立相談支援機関」への新規相談件数が2020年度は前年度比3.2倍の78万6195件にのぼりました。
こども宅食応援団が2021年3月~4月にかけて利用家庭に向けて行ったアンケート調査でも、ご家庭から悲痛な声が届いており、長期化するコロナ禍でこうした支援をさらに拡充していく必要があります。
・主人がコロナ倒産し再就職先もまだ見つからず、失業保険があと2ヶ月で終わると思うと、その先が不安でしかありません。
・父子家庭で4人の子どもを抱え、貯金を切り崩しながら生活している
・仕事が見つからないので将来が不安。子ども達に不自由させたくないから、それなりの給料の仕事につきたいが、学歴もないし、資格もない。子どもが小さいので思うように働けない。
※一般社団法人こども宅食応援団「こども宅食利用家庭に関する調査結果」より
地域の居場所支援が、感染拡大防止の観点から運営縮小・中止を余儀なくされる中、「こども宅食」型の支援はコロナ禍で「密」を生まずに子育て家庭の孤立を防ぐ支援として注目が高まっています。令和2年度の第二次補正予算・第三次補正予算では「支援対象児童等見守り強化事業」にこども宅食が加わり、国としてもこの形の支援をサポートする方針を取っています。
実際に、2020年4月には6府県10団体だったこども宅食応援団の連携先団体数は、2021年12月1日時点で28都道府県60団体以上にまでに急増しており、課題を抱える子育て世帯からのニーズの高さが伺えます。
これまで、全国のこども宅食実施団体は、こども宅食応援団が提供する助成や物品の他に、各団体ごとに必要な食品を購入・寄付を通じて調達してきました。しかしながら、限られたスタッフや財源の中で、食品の安定確保や寄付企業との接点づくりに困難を抱える団体も多くあります。
2021年3月にこども宅食実施団体向けに行った実態調査では、「事業を安定的に実施するための財源がないこと」に課題を感じると回答した団体が70.7%にのぼり、87.9%が「食料を安定的に確保するための仕組み、衛生管理や物流に関する情報提供」を必要としていることが分かっています。
一般社団法人こども宅食応援団「こども宅食の実施実態に関する調査」より
今回実施する「こどもフードアライアンス」は、複数の食品メーカーより提供される食品を一括集約し、全国のこども支援団体に分配する取り組みです。
寄付食品を一括集約することで、全国の子育て支援団体の食品調達をサポートし、企業各社にとっても自社商品の提供を行いやすくなり、SDGsへの取り組みを促進させることができます。
第一弾となる本年1月の取組みにおいては、日本アクセスが各食品メーカーに協賛を募り、趣旨に賛同したメーカー各社より提供いただく食品をフローレンスが東京で一括集約、こども宅食応援団の連携先団体へ配送いたします。配送にかかる費用は日本アクセスがサポートします。
コロナ禍で経済的な不安を抱えるご家庭がより厳しい状況におかれる中、全国に支援者ネットワークを持つNPOと、大手食品メーカー各社とネットワークをもつ国内最大級の食品卸企業とが協働することで、非常に大規模な支援網が実現します。
今回はトライアル実施として、こども宅食応援団を通じて、全国のこども宅食を実施する65の支援団体へ、1月下旬より1万世帯相当の食品を配送いたします。
今後は本取組みの実施検証を行いながら、食品メーカー各社からさらなる賛同を募り、取り組みを継続・拡大していく予定です。
この度の取組みに、全14社の企業より協賛をいただきました。公表可能な企業名を掲載しております。(2022年1月12日時点)
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