全国に「こども宅食」の取り組みを広げることを目的に、こども宅食応援団は日々活動をしています。
今回は、2020年4月に新型コロナ緊急支援で始まり、全国でも最大規模の1,860世帯を支援している、熊本県の「てとてとておたがいさまBOXプロジェクト」の10月の活動の様子をご紹介します。
2020年10月、7月豪雨災害の影響でストップしていた熊本県での宅食(所)が再開しました。
運営するのは、熊本県で1949年から母子家庭を支援する団体「熊本県ひとり親家庭福祉協議会 てとてとて(以下てとてとて)」。新型コロナウイルス感染症の影響によって困難な状況となったひとり親世帯を対象に、県内21ヵ所の母子会と連携して、約2週間かけて1860世帯に食料品などを手渡し、つながる活動を行っています。また、県内のひとり親世帯の方々に対して、生活相談・就労支援などを通し、ひとり親の生活を支える取り組みも合わせて行っています。
よく晴れた10月某日、「てとてとて」事務所のある熊本県熊本市では久しぶりの配送の準備が行われていました。
「てとてとて」事務所は、その日からはじまる宅所(※)の食品でいっぱい。お米、乾麺、レトルト食品、お菓子などの食品ダンボールが所狭しと積み上げられています。
(※「てとてとて」は熊本県全域と範囲が広く、世帯数も多いため、「取りに来てもらう」という形で実施。拠点を知ってもらい、日常の生活支援、就労支援などへとつなげていくこともねらいの1つです。)
これらの食品、お米以外は寄付で頂いたもの。こども宅食応援団からも、株式会社 銀座コージーコーナー等から寄付いただいた食品を提供しています。
この日の宅食再開に合わせて「てとてとて」では、新たに4ヵ所の拠点のオープンを進めていました。そのうちの1つ、益城町にある拠点は、2016年4月の熊本地震で全壊となってしまった個人のご自宅ガレージをリノベーションして、宅食開始の5日前に完成。そこは、広い天井に木で囲まれた、まるでおしゃれなカフェのような空間でした。
益城町の拠点「ましきこがみ舎」での宅食は、益城町だけでなく約30㎞離れた南阿蘇村の世帯も対象となっていました。その日、その拠点を担当されていた代表の藤井さんは、食品を取りに来たご家族1人1人に、「どうぞ、ゆっくりしていってください。」と優しく声をかけます。そして、対象世帯のご家族は、ゆっくりとコーヒーとお菓子をつまみながら、藤井さんとの何気ない会話が始まります。
益城町は、2016年の熊本地震の震源地であり、最も被害が大きかった地域。何気ない会話の中から、「最近、仕事を変えて熊本市に通っているんですよね~」という話や「うちの子ども、家から全く出られなくなって…」という話も。新型コロナウイルス感染症による影響で、多くのひとり親が、失業や転職を余儀なくされた様子でした。そして子どもたちは、コロナ禍の家庭の状況と、震災時の大変だった記憶が重なりフラッシュバックすることもあるようで、とても神経過敏になっている様子でした。
2016年4月、2度の震度7の激震が襲った「熊本地震」。熊本県を中心に死者139人、全壊8298棟などの大きな被害があったことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
そんな中、当時熊本県内のひとり親家庭の支援を行っていた「熊本県母子寡婦福祉連合会(現熊本県ひとり親家庭福祉協議会)」の事務所も全壊。被災地域のひとり親家庭の多くが生活再建に苦慮していた中、現代表の藤井さんを中心に、県内の母子会は一致団結。震災から2年後に現在の事務所が入る「母子・父子休養ホームしらゆり」を再建。県内21ヵ所の母子会と連携しながら、約2000世帯のひとり親家庭の支援を行っています。
熊本県ひとり親家庭福祉協議会では、2020年4月コロナ禍における緊急支援として県内母子会会員約1000世帯に、「てとてとて おたがいさまBOXプロジェクト」として、お米や農産物を届けつつ、『決して孤立させない。みんなで支えていくよ』というメッセージとともに、こども宅食をスタート。6月には緊急支援として、1300世帯に支援を届けました。
そんな中、7月に入り熊本南部を中心に大雨による甚大な被害が発生。その地域の母子会は、豪雨災害の対応に追われ、「おたがいさまBOXプロジェクト」は一時ストップ。10月に再開となりました。
対象者:熊本県内ひとり親世帯
対象世帯数:1860世帯(2020年10月末時点)
開催頻度:2ヶ月に1回
運営団体:社会福祉法人 熊本県ひとり親家庭福祉協議会
URL:https://tetotetote.kumamoto.jp/
利用申込み:公式LINE ID 、または 「熊本県ひとり親家庭福祉協議会」でインターネット検索。電話、窓口等で受付けています。
「てとてとて」では、今後も地域の母子会との連携を続け、緊急的な支援を続けながらも、ひとり親の方々が安心して暮らし続けていくための生活相談・就労支援を強化していきます。そして今、人気が高いのがパソコン講習です。こども宅食応援団からも、Yahoo!募金を活用し、パソコン購入や就労支援の一部を補助し、さらなる就労支援の充実に伴走していきたいと考えています。
そして、益城町の拠点「ましきこがみ舎」でも、熊本地震×新型コロナウイルス感染症の影響で、つらい状況にいるこどもたちに、様々な体験の機会の提供を行っていく予定です。すでにスタートさせている「こども農園」での活動に加えて、学習支援やこども食堂なども開始予定です。また、ご家族向けの就労支援もこの拠点でスタートさせる準備もすすめております。
今後も、「てとてとて」のサポートのもと、熊本県内のひとり親のみなさんがつながり合い、必要な支援が必要な方々にちゃんと届く環境が整っていくことを期待します。
こども宅食応援団は、全国各地でこども宅食が実施されるよう、立ち上げ支援・ノウハウ提供などの伴走支援・制度化に向けたロビイングなどの活動を行っています。
これらの活動は、みなさんからの寄付を原資に行っています。
お住まいの地域にこども宅食があったらいいな……と思う方はぜひ、こども宅食応援団の活動をご支援よろしくお願いいたします!
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