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「こどもにご飯をあげられない」~夏休みのこどもたちの食を支える「夏休み給食便」挑戦の舞台裏~

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「給食のない夏休み」が始まる直前の7月初旬、こども宅食応援団と認定NPO法人フローレンスは、特例認定特定非営利活動法人 フードバンク愛知、WeSupport Family運営事務局のオイシックス・ラ・大地株式会社と連携し、全国の困窮する子育て家庭1万2000世帯に、お米12トンを支援する「夏休み給食便」を実施しました。

👇「夏休み給食便」についての記事はこちらをご覧ください👇
【イベントレポート】全国の困窮する子育て家庭 約1.2万世帯に届ける「夏休み給食便~政府備蓄米でこどもたちを支える~」記者会見を実施しました

今回は「夏休み給食便」を共に牽引してきた、こども宅食応援団常務理事の原水と、フローレンス代表理事の赤坂さんの対談インタビューをお届けします。

一般社団法人こども宅食応援団 常務理事 原水 敦
社会福祉士として障害者福祉に13年関わった後、教育キャンプを主催する団体を立ち上げ。一般社団法人ピープラス 代表理事として「カタリ場」「マイプロジェクト」「教育キャンプ」「カンボジア支援」など複数の事業を展開する傍ら、2020年にこども宅食応援団に参画。
2024年6月より現職。北九州市立大学非常勤講師、社会福祉士、保育士。趣味はキャンプ。三度の飯より山と海が好き。

 

認定NPO法人フローレンス 代表理事 赤坂 緑
2014年フローレンスに入職。2018年にディレクター、2022年に代表理事に就任。現在は、全社の人材・組織開発、主に保育事業を中心とした事業運営や政策提言全般に携わる。
国家資格キャリアコンサルタント、保育士。2児の母。好きなものは、ミスチルとフラメンコ。


Q. 夏休みに学校の給食がないことで、経済的に困窮している子育て家庭がいっそう辛い状況に追いこまれてしまうことが、広く認識されるようになってきました。
物価の上昇が続くここ数年、特に深刻になっていますが、「夏休み給食便」を実施した、率直な思いをお聞かせいただけますか?

原水:全国の支援団体さんの「助けて」という声に応えたい、その思いが一番強かったですね。
そもそも支援の現場でお米の需要は非常に高く、「こども宅食」でお米を届けるとご家庭との関係が築きやすいものなんですよ。ところが、昨年からの米価格の急激な上昇と品薄です。この春頃から「家庭に持っていける米がない。どうにかならないか」という相談が、こども宅食を実施する団体から、いくつもあがってきました。
もちろん、団体さんの先には、お米がなくて困っているご家庭があります。そこで、我々として何ができるか検討し、「助けて」の声にどれだけ応えられるか挑戦したんです。夏休みに間に合うように何かできないか、民間の我々だからこそ、できることがあるのではないかと調整を続け、今回の取り組みに繋げました。

赤坂:フローレンスはこども宅食応援団(以下、応援団)と連携して全国に支援を届けています。普段から、それぞれスタッフは主体的に連携して動いてくれているのですが、今回はその行動力がひときわ際立っていました。それこそ、「うぉー」という勢いで。
各地の団体さんの現場の声を拾って、何ができるだろうと模索し、普段から関係性を築いていたオイシックス・ラ・大地さんやフードバンク愛知さんにも声をかけて連携していった、その行動力とスピードには目を見張るものがありました。
「自分たちにできることがしたい。民間だからこそ迅速にできることがあるはずだ」
。スタッフのその思いが、「夏休み給食便」では形になったと思っています。

Q.7月2日には「夏休み給食便」記者会見を行いました。

赤坂:今回、わたしたちは1万2000世帯に12トンのお米を配布しました。記者会見では、プロジェクト実施の背景や課題感、どのように配布するかの概要を伝えただけでなく、「全国の困窮家庭へ届けるためには、まだまだ足りていない」と、現場の声を交えながら、説得力をもって訴えることができました。
官民が垣根を越えて連携することの重要性を訴え、少しでもメディアに取り上げてもらえたことに、記者会見をやったことの意義があったと思っています。

原水:数字だけを見ると、全国の規模からしたら微々たるものだったかもしれません。それでも、切迫した状況の親子がいることを記者会見で伝えられたのは良かったと思います。
実は、記者会見の翌日に、東京某所のご家庭へお米を届けに行ったんですよ。そこで、お母さんの切実な現状についてお話を伺いました。「お米を店頭で買おうと思っても高いし、品薄で手に入らない。2月に5kgのお米を手に入れたのを最後に、ずっと買えないままお米をやりくりしてきました。小学生の食べ盛りのこどもが2人いるけれど、とても1日3食お米を食べさせられず、1食が限界。他の食事は麺類で、なんとか凌いできました」と。そして「麺類ばかりだと栄養のバランスも悪いし、こどもたちはやっぱりお米が大好きだから、本当にありがたいです」という喜びの言葉をもらいました。

Q.4か月もお米が買えないとは、そこまで状況は深刻なんですね。しかしながら、政府備蓄米が出回ってきたので、価格も供給も安定してきたように思われますが?

原水:政府備蓄米は確かに出回ってきました。しかし、すぐに売り切れてしまう(注:2025年7月の状況)。「ひとり親でフルタイムで働いているので(ニュースで見受けられるような)開店前から並んで買うなんて、できません」と、先程のお母さんは話していました。今回の訪問で、本当に皆困っているということ、子育て家庭にとってお米はとても大事であるということを、あらためて実感しました。

ご家庭へ支援のお米と食品をお届けしました

Q.「夏休み給食便」を実施する中で見えた課題があれば教えてください。

赤坂:子育て家庭の、本当に必要としている人たちに十分なお米が届いていないという問題に、社会全体で関心を持つことが大切だと切実に思っています。
「夏休み給食便」をやって良かったと思っていますが、支援規模としては決して大きくありません。全国各地には色々な形で活動されている方がいます。記者会見でも訴えましたが、企業の方は物品を供給してくださることができるし、個人の方は地域で活動している方に寄付して応援することもできます。
わたしたちは、食品を届ける活動を続ける一方で、この日本でこんなことが起きていると、当事者の声を拾い上げて訴え続けていくことも大切だと考えています。

しっかりご飯を食べられることは、安心につながる

原水:冒頭にもお話しましたが、今回の取り組みは、全国の団体さんの声から始まりました。各地の団体が政府備蓄米の申請をしても、申請が急増しているせいで、いつまでも現場に届かなかったというんです。そのような状況の中で「真っ先に動いてくれたのが、こども宅食応援団だった」という評価もいただいています。
もちろん、「夏休み給食便」は我々の力だけでなく、色々な方のご協力があって実現しました。この取り組みを通じて、手を取り合えばできることがあるということも実感しました。微力ではあったけれど、無力ではなかった。これが積み重なっていけば、多くの人が助かっていく未来が作れると信じています。できることを少しずつでもみんなで積み上げていけるといいと、改めて感じました。

Q.最後に、今後の展望について教えてください。

原水:「夏休み給食便」は、応援団とフローレンスだからこそできたと思っています。全国の団体と繋がりがあって、現場のニーズを吸い上げる力のある応援団と、組織力、発信力、歴史、そして企業との関係性など色々な強みを持っているフローレンスという団体が掛け合わさり、今回の取り組みに繋がりました。今後も、緊急時にはお米に限らず、臨機応変に、民間だからこその支援を迅速にしていきたいと思います。

赤坂:フローレンスと応援団がどのように連携していくのが良いのか、理想の形を追い求めながら、フローレンスの組織としての発信力やコネクション、応援団の全国の現場との繋がりを掛け合わせてできることを、これからも泥臭くやっていきたいと思います。

~「夏休み給食便」プロジェクトの舞台裏~対談インタビューは、いかがでしたでしょうか。
今回の緊急支援は、寄付や協賛といった民間努力によって実現することができました。

私たちこども宅食応援団は、苦しい生活を送る親子の力に少しでもなれるよう日々活動しています。
今後も各地の状況を機敏に捉え、緊急支援が必要と判断すれば、追加支援を行っていきます。

困りごとを抱えるご家庭へ継続的に支援を届けられるよう、皆さまからも引き続き、温かなご支援をよろしくお願いいたします。

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