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2024.12.25

クリスマスに届ける 地域の温かな支援 「つながりで、一人でも多くの笑顔を」 大阪府堺市 みんなの広場気楽

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2024年10月、こども宅食応援団は新たなビジョンとミッションを掲げました。 

ビジョンは「すべてのこどものとなりに、ぬくもりを。」、ミッションは「今日を生きるこどもたちのために、多様な人々が手を携え孤立を生まない社会を創る」です。このミッションを形にするため、応援団はさまざまな取り組みを通じてメッセージを発信しています。 

その一環として、11月の虐待防止月間から【#孤立を生まない社会】をテーマに特集記事の連載をスタート。地域の子どもたちに食事を届ける「こども宅食」の取り組みを紹介し、支援の大切さや地域とのつながりを伝えています。 

今回は、「クリスマスに届ける 地域の温かな支援」をテーマに、クリスマスを通じた支援活動に注目します。2つの支援団体を取材し、それぞれの活動の中で大切にしている想いや家庭との心温まるエピソード、クリスマスイベントの様子をご紹介します。

こども食堂・宅食「みんなの広場気楽」代表の尾張嘉平さん にお話を伺いました。

本記事が、「孤立を生まない社会」を考えるきっかけとなれば幸いです。

居場所支援から「こども宅食」へ

大阪府堺市で活動する「みんなの広場気楽」は、企業主導型保育園を運営する尾張嘉平さんが展開している取り組みです。「こども食堂」「こども宅食」「学習支援」「放課後の居場所作り」の4つを軸として運営しています。

――こども食堂で開催されたクリスマスイベントは、80名を超える参加者でにぎわいました

「たった一人でも笑顔になれる場所を作りたい」という思いからスタートしたこども食堂は、料金を一律100円に設定しています。こどもたちにお金の大切さを学んでもらい、無料では得られない学びの機会を提供するねらいがあります。

しかし、こども食堂だけでは家庭の困りごとを見つけることに限界がありました。こどもたちが自然に話しやすい環境を提供するには、より幅広い居場所づくりが必要だと気づき、放課後の居場所作りや学習支援を取り入れ、活動を拡大していきました。


――こども宅食の訪問家庭より写真が届きました! お米や手軽に食べることのできる食品日用品などお届けしています
  「みんなの広場気楽」のチラシも一緒にお届けしています

こども宅食を始めるきっかけとなったのは、居場所支援で関わったひとり親家庭のこどもが「帰宅しても誰もいないのが嫌だ」と話してくれたことでした。夜の7時半頃になっても帰宅しようとしないこどもたちがいて、不思議に思って理由を聞いてみると、「お母さんが仕事で家にいないため、帰りたくないと思っている」ということが分かりました。しかし、家庭の事情を知っても、いきなり踏み込むことはできません。もう一歩、家庭に踏み込むツールとしてこども宅食を開始しました。

尾張さんは「こども宅食を通じて、支援家庭の環境が見えるのがよいですね」と話します。食品をツールに家庭に出向くことで、こども食堂や居場所支援では把握できない家庭の状況に気づけるようになるためです。

さらに尾張さんは、「家庭への支援には、信頼関係が不可欠」と考え、地域全体で支える仕組みを構築するために自治会や行政との連携に取り組んでいます。朝の登校時に見守り活動を行っているのもその一つです。「行政や学校と一緒に活動しているという安心感を伝えることで、保護者様との接点も増え、より充実した支援を提供できるようになりました」と振り返ります。

クリスマスイベントで生まれた温かいエピソード


――クリスマスプレゼントにたくさんのお菓子を用意しました

イベントでは、ひとり親家庭への支援としてステーキ用の肉を80枚ほど用意。「柔らかくて美味しかった」との感謝の声が多く寄せられ、特別なひとときを届けることができたそうです。また、みんなの居場所気楽のイメージキャラクター「きらっく」の衣装でサンタに扮した尾張さんは、こどもたちから「怖い〜」と言われる場面もあり、笑いを交えながらそのエピソードを話してくれました。 


――「みんなの広場気楽」のキャラクター「きらっく」 クリスマスイベントではサンタに扮して大人気でした

クリスマスイベントでは、さまざまな心温まるエピソードが生まれました。 

 「おとなしい」と思われていた小学5年生の男の子が、今回のクリスマスイベントで人前で話すことに挑戦し、自信をつける場面がありました。お母さんは「前日に一生懸命練習していました」と嬉しそうに語り、尾張さんも「こどもに何かを挑戦する機会を与えると、親が知らなかった一面が見えることがあります」と笑顔で振り返りました。 

――イベントでは小学生ボランティアが大活躍です

また、小学校6年生の女の子は小学生ボランティアとして毎回参加してくれており、友達を誘いながらイベント運営を助けてくれる、欠かせない存在です。「僕一人でも準備はできますが、手伝ってくれるととても助かります」と尾張さんは感謝の気持ちを述べました。こうした小学生ボランティアの協力が、イベントを支えています。 

さらに、ひとり親でこどもが4人いる家庭には、年長さんのお子さんにランドセルをプレゼントしました。尾張さんは「特別な贈り物ができて良かった」と語り、支援が家庭にとって特別な意味を持つことを改めて感じたそうです。 


――ご寄付いただいたランドセルを新1年生のAちゃんにお届けしました

支援を絶やさず、つながりを保ち続ける

「どんな形でも、支援を絶やさないことが大切」と尾張さんは言います。

一日だけの関わりでは、こどもや家庭がどのようなことに困っているのか、どのような助けを必要としているのかがわかりづらいからです。

現在、こども宅食では、月に2度、約79世帯に食品や日用品を届けるとともに、家庭とのコミュニケーションも図っています。助けを必要とする家庭とつながりを持てたのは、1つ1つの活動を継続したからこそ。

「支援を続けることで、孤立する人が少なくなると思っています。これからも、こども宅食を通じて、こどもたちと家庭を支えていきたいです」

そう語る尾張さんは、今日も地域のこどもたちの笑顔のために温かい支援を届け続けています。

取材・記事:薗部雄一

 

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