一般社団法人沖縄多胎ネットは、沖縄本島の南部、豊見城市を拠点に2022年より活動を行っています。多胎の養成講座を受講した多胎の親など21名が在籍し、浦添市にて多胎育児サークルを開催するなど、双子・三つ子育児を行っているパパママをサポートしています。
こども宅食は、沖縄県内で多胎育児を行う家庭を対象に、沖縄多胎ネットの交流会や民間のサークルを通じて現在約40世帯へお届けしています。
――多胎育児サークルにはいつも笑顔がいっぱいです
代表の内間さんご自身も双子育児の当事者です。妊娠・出産時期を東京で過ごし、一時期は頼れる家族、親しい友人もいない環境で、ほぼワンオペでの育児をしていました。
外出もままならず、授乳・おむつ交換、休む間もなくその繰り返しの毎日。次第に心と体に疲れがたまっていきました。
そんな時に心の支えとなったのが、地域の育児サポーターさんの存在でした。
あるとき内間さんが、「ベビーマッサージに行きたいけれど、一人で二人は連れていけないし、一人で二人のマッサージはできないから行きたくても行けなくて」と話をしたことがありました。その言葉に対し育児サポーターさんは、「じゃあ一緒に行きましょう!一緒に行けば交代しながらしてあげられるんじゃない。出来ないと思うことを、どうしたら出来るようになるか一緒に考えていきましょう」と迷わず提案してくださったそうです。
「どうしたら出来るようになるかを一緒に考えていこう」
この言葉は、育児を行う上でとても大切な言葉となりました。
お子さんが1歳を迎えてまもなく、内間さんは沖縄へ帰郷し環境を変えての育児がスタートしました。沖縄では当時、多胎児支援の環境がまだ整っておらず、「私のように困っている人たちはどうしているんだろう」「助けてもらった恩返しをここ沖縄でしたい!」内間さんはそう感じ、浦添市での双子会を開催することを決めました。
そして、活動の輪が少しずつひろがり、沖縄県内で同じ思いを持って活動している方たちと共に、沖縄多胎ネットを発足。双子・三つ子育児の当事者であるスタッフが、ピアサポーターとして活動を支えています。
内間さんは会の活動を通じて、「会に参加することができない方こそ支援を必要としているのではないか」という思いを大切にしています。「外に出かける気持ちになれない」「勇気がなくて出かけることができない」「行きたくても行くことができない」そんな思いをもつお母さんにこそ必要な支援を届けたい。「こども宅食のお届けは私の役目」と、内間さんは車を走らせ、できる限り県内全域へお届けをと訪問支援を行っています。
心をひらいてくれるお母さんばかりではありません。そんな時は「食品だけでもお届けしたいので」と気持ちを伝え訪問します。お母さんの表情、赤ちゃんの様子、家庭の雰囲気。玄関先でかわす短い会話から、今必要な支援を感じ取ります。
品物をもって訪問することで、少しずつ距離が近くなり「ちょっと話をしただけで気持ちが楽になりました」「双子育児で不安になることも多く、先輩ママと話をする機会がほしいけれど出かけることも出来なくて、訪問してもらえることがすごくありがたいし嬉しい」「楽しさをみつけることが大変な毎日だけど、楽しみを届けてくれてありがとうございます」との声も届いています。当事者であるからこそ、寄り添える心の距離があると思い活動を行っています。
訪問し家庭の声を聴くことで、実現させたいこれからの活動・支援が明確になったと内間さんは語ります。その実現には地域の理解と行政との連携が必要です。
その第1歩として、沖縄多胎ネットでは、2024年5月~7月にかけて「沖縄県内の多胎に関するアンケート調査」を実施しました。県内在住の双子や三つ子がいる家庭、また、双子や三つ子を妊娠中の方を対象にしたアンケートです。多胎家庭ならではの悩みや必要な支援について多くの声を集め、その調査を元に必要な支援につながる事業を行っていきたいという思いを込めて実施されたアンケートで、今後その結果を元に県や市町村と共に社会資源の構築を目指し活動を実施していきます。
寄り添い、安心して共に子育てを楽しむことができるように
沖縄多胎ネットの活動を通してピアサポートの和を広げていきます。
――沖縄多胎ネットスタッフのみなさん
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