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子どもの未来が拓ける関わりを――三股町社会福祉協議会 みまたん宅食どうぞ便

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宮崎県三股町の「みまたん宅食どうぞ便」は、三股町社会福祉協議会(以下、社協または三股町社協)が事務局となり、町内の社会福祉法人、地域のボランティアの方と共に活動が行われています。

お届けは、月に一度・約80世帯へ食材や生活必需品が届けられています。

――お届けする食材の目安は「世帯人数×10食分」。地域の新鮮野菜も多く届けられます

政策はあるのに届かない支援

「みまたん宅食どうぞ便」がスタートしたのは、約5年前。

東京都文京区で日本初のこども宅食の取り組みがはじまったばかりの頃でした。

 

当時、三股町社協では、子どもの貧困対策に取り組んではいるものの、困りごとがある方とのつながりが全くと言っていいほどなく、「支援が必要な世帯の実態はあるのに相談すら届かない」「困りごとを聞くために、どのように繫がればいいのだろう」という課題に直面していました。

 

「政策はあるのに支援を届けられない」

活動の方向性を模索する中で、出会ったのが、文京区のこども宅食の取り組みでした。

この取り組みなら、「つながりを持つきっかけを作る事ができる」「入り口をつくることで困りごとに寄り添うことができる」と考え、とにかくやってみようと準備を整え、ひと月後には、最初のお届けを行ったそうです。13世帯からのスタートでした。

――地域で育まれた野菜とお米そして味噌。「どうぞ便」で毎月お届けしています

自分だけでは解決できない困りごとに寄り添う

三股町は、宮崎県の南西部・都城盆地に位置し、鰐塚山系や高千穂峰を背景とした、人口約25,000人の自然豊かな町です。16万人都市の都城市に隣接し、ベッドタウンとしての人気も高いエリアで、町をあげて子育て支援に取組んでいることもあり、年々子育て世代の移住も増加している人気のエリアです。

 

三股町での支援を通して、三股町社協で生活支援コーディネーターをしている松崎さんは「食べられない状況にある世帯は多くはないが、子育てをする中で、自分だけでは解決できない困りごとを抱える世帯は多くなっている」と感じています。

そしてまた、辛い状況にある世帯こそ、「助けてほしい」と声に出せない、相談しづらい状況にあるとも感じているそうです。

 

その原因は、保護者の心のバランスや、支援を受けることへの後ろめたさ、抵抗感などがあるといいます。ある世帯では、行政へ相談に行ったもののあてはまる支援にたどりつかず、その体験がネックとなり、以後、相談をしたり支援を受けたりすることを行わず、支援に嫌悪感を抱くようなケースもあったといいます。現在の行政支援では、ひとり親世帯や、身体に障がいを持つなど、なんらかのラベリングを行わなくては支援が受けられないというケースも少なくなく、また、ラベリングされることでの「傷つき体験」から、支援に繫がることへの抵抗感がさらに強くなることもあるそうです。

生活が大変と感じていても、辛いといえない現状にあり、自分が頑張ればと自らを責めて、罪悪感から周囲との孤立を生んでしまうということもあるのです。

そんな辛い気持ちを受けとめて、自分では解決できない困りごとに寄り添っていく。

こども宅食なら、支援を必要としている方の元へ、必要な支援を届けられる。つながることができる。どうぞ便が発足してから5年、大切にしてきた想いです。

――食材とともに手書きのレシピが毎月添えられています。

ボランティアスタッフと共有する想い

「どうぞ便」に毎月添えられている手書きのレシピは、社協で運営している子ども食堂の栄養士さんの発案で、スタート時から食材とともに届けられています。レシピは、配送当日に集まった食材の中から考案し、調理方法の絵を描くなど一目でわかる工夫が施されています。手書きのレシピから、おいしく食べてもらいたいというあたたかい思いが伝わります。このレシピも5年目。スタート当初小学生だったお子さんが高校生になり、レシピを手に料理をしているという嬉しい反響も聞こえてきているそうです。

 

どうぞ便は、約25名のボランティアスタッフに支えられ、毎月の配送が行われています。スタート当初から関わりをもってくださっている方も少なくありません。

配送は、お一人のボランティアスタッフが3世帯ほどを担当し、毎月同じ世帯へお届けしています。スタッフの皆さんからは、子どもたちの成長を感じられることを喜びとしているという声も多く届きます。

社協の松崎さんは、利用者さんから届いた感想や近況などは、ボランティアスタッフも含め皆で共有するように心がけているそうです。

自分たちの行っている活動がどういうことに影響し、繫がっているのかを知ることは、活動をより明るく活発にする原動力になり、スタッフとの一体感も育まれています。

正解のない支援 

支援を必要とする家庭の状況は様々です。

「収入が減少したことで食支援が必要な世帯」「子どもに愛情はあるのに技術として生活を行うことが難しい世帯」「虐待などの要因で子どもが孤立している世帯」など、収入だけでははかれない困りごとも多くあり、必要とする支援、つなげたい支援も異なっていきます。

「困り感」にも個人差があり、身近に相談できる相手がおらず、辛い状況を判断できずに困り事を抱えたまま生活を行っている世帯も。困っているのに助けてと言えない、言わない状況もあるのです。

 

困りごとを抱える家庭の中で子どもたちは、勉強ができる環境になかったり、朝起きられないことで、学校に行くことができなかったりと、孤独・孤立を深める状況におかれていることも少なくありません。松崎さんは、そんな「孤立した子どもを見逃さない」ということを第一に活動に取組んでいます。

関わりを持つ中で、学校にいくことができなかったお子さんが、進学・就職をして新しい可能性を拡げることにもつながりました。

価値観が多様化するなかでは、その子にとってのよい選択が、学校に行くことではないこともあります。そんな時も多様性を受け入れ、その子にとっての最良の選択へと導くように関わりを持ち続けることも行っています。

つながることで、変化の可能性となる。

いろんな人が子どもに関わっていき、その子の課題感に寄り添うことで、選択肢が増え可能性も拡がっていくのです。

――企業・個人問わず、たくさんの食材が届けられます。活動を知り、支えて下さる支援の輪がどんどん拡がっています。

万能な支援はない

「万能な支援はない」松崎さんはそうおっしゃいます。

何がゴールか、どうなることが解決なのか分からない。すぐに解決できない、解決のゴールが見えない深刻な状況に出会うこともあるけれど、思いをもって愛をもって関わり、丁寧につなげていくことを大切にすることが、子どもの未来が拓ける関わりとなる。

つながることで7割はその目的をはたしている、そう信じてつながり続ける。

どうぞ便が支援の入口となり、子どもの孤独を見逃さない活動が続けられています。

 

 

三股町社会福祉協議会「みまたん宅食どうぞ便」

活動地域:宮崎県三股町
開設:2017年
登録家庭数:約80世帯
お届け:毎月第3水曜日

 

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