今年1月からこども宅食にも提供されるようになった政府備蓄米の無償交付には、ご飯食の魅力を伝える食育の取り組みを行うことが条件とされています。
食育とは、「生活の基礎作りに役立つ、基本的な食事を学ぶ教育」のこと。
こども宅食を届けているご家庭には、1日3食の習慣が無いご家庭、食事を作れる人が居ないご家庭など、基本的な食事が難しいご家庭もあります。
こども宅食では、そういったご家庭でもお届けする食品を楽しんで頂けるよう、お届けの際に様々な工夫を行っています。
今回は、こども宅食で行っている食育の工夫をご紹介します。
多くの団体で行っているのは、レシピを一緒にお届けすることです。
調理の難しいご家庭では、食材が届いてもその調理の仕方が分からず、使用できないことがあります。
そこで、お届けした食品を使って簡単に作れるレシピをお届けすることで、料理が苦手なご家庭でもすぐに調理ができるように、と工夫しています。また、日常的に調理を行っているご家庭にも、新しいレシピをお伝えすることで、ご家庭の食卓にバリエーションが生まれています。
長野県長野市で活動する「こども宅食えんまる便」では、長野県立大学 食健康学科の学生さんが作ってくれたレシピとお手紙を一緒に届けました。えんまる便の活動を知り、今自分に出来る事は何だろうと、一生懸命考えて作ってくれたレシピです。
「食を通してひとり親家庭さんとつながりたいです。」
「お母さん達、お忙しいと思います。栄養があって、少しでも簡単に作ってもらえるものを考えました。」
そんな気持ちがこもった、とてもやさしいレシピです。
静岡県静岡市で活動する「子ども食堂ちるふぉれ便」では、毎月お届けする食品の中に、季節の果物を入れるようにしています。
久しぶりに果物を食べるご家庭も多く、子どもたちも喜んで毎月楽しみにしてくれています。
「いつも少食の子どもが果物はたくさん食べました。」と、意外な一面を発見できたことを喜ぶ保護者の方からのお声をいただいたり、お子さんが配達を待っていてくれて、「ずっと食べたかったから嬉しかった」とお礼の言葉を伝えてくれたりと、励みになる反応をいただけています。
こども宅食でお届けする食品で、少しでも楽しい食事の時間を過ごせてもらえたらという思いをもってこれからもお届けしていきます。
徳島県徳島市で活動する「クレエール子ども食堂宅食便」では、寄付でいただいたおいしいお米を小分けにして配送しています。
お米を炊くことが難しいご家庭もあり、お米のとぎ方、炊き方、お米を使ったレシピを印刷して一緒にお渡ししています。
子ども食堂も行っているクレエールでは、子ども食堂への来店も誘い、こども宅食を行っている家庭の子ども達のうち、20人くらいが子ども食堂まで出て来るようになりました。
家庭で孤食や子どもだけでご飯を食べる、ひとり親やコロナ禍で生活に困窮している家族が多く、宅食の訪問時に子ども食堂に出てきてくれたら、毎日無料だから、と誘っています。多様な人の中で、一緒にあたたかいご飯を食べて、大学生に勉強を教えてもらい、遊び、地域の高齢者の人が紙芝居や絵本を読んだり、ゆっくりお話を聴いたり、お話をしてくれたり、生活に必要なことを教えてくれたりします。
子どもがご飯を炊くことができたら、お米を宅食で持っていく意義がぐんと高まります。クレエール子ども食堂では料理教室も定期的に開いています。
6月には第2回『おにぎりキッズ大会』が行われました。
おにぎりキッズ大会では、大学生のボランティアや、地元のJA徳島市女性会のみなさんが参加し、子どもたちにおにぎりの握り方を教えたり、子どもたちの希望やアイデアを聞きながらおにぎりの具を選んだりしながらオリジナルのおにぎりを作り、一緒に食事を楽しみます。
大盛況で大忙しでしたが、子ども達の笑顔や楽しいオリジナルおにぎりを見たり、親子連れが喜んでお礼を言いながら帰る姿を見て、学生ボランティアもJA女性会の方も、「あーすごかったなあ」と、心地よい達成感を感じていたようです。
JA女性会の方々は「またいつでも呼んでよー」とさっそうと帰っていき、学生ボランティアも、「すごく楽しかった」「企画から参加できてよかった」「みんなが楽しい、みんなが幸せになる活動ですね」と感想を言ってくれました。
宮崎県三股町で活動する「みまたん宅食どうぞ便」は農林水産省が発行する「食育白書」で、こども宅食で行っている食育活動が掲載されました。
(第2部 食育推進施策の具体的取組・第3章 地域における食育の推進にて紹介。PDFの40ページ目に掲載されています。)
どうぞ便では、三股町で取れるお米や、地元団体が手作りした味噌やパン、新鮮な地元の有機野菜などをお届けしながら、管理栄養士が作成した簡単レシピもお届けしています。
また、食材の旬や下ごしらえの方法などをまとめた「暮らしBOOK」も作成し、お届けしています。
お茶を沸かすのとペットボトルで買うのとではどれくらい金額が変わるのか?など、経済的に厳しいご家庭でも食を楽しむための豆知識なども掲載されていて、まさに「生活の基礎作りに役立つ、基本的な食事を学べる」冊子となっています。
各地の特色あふれる食育の支援、いかがでしたか?その他にも、田んぼや畑での収穫体験を提供している団体など、各地のこども宅食団体では様々な食育の提供を行い、子どもたちが将来も食を楽しめる礎を築く活動を行っています。
こども宅食の支援は、ご家庭に食材を届けるだけではありません。配送を通じてご家庭と継続的に繋がりを持ち、見守りの支援を届けるとともに、親子の食卓がより豊かに、明るいものになるよう、様々な工夫を行っています。
子どもたちの健やかな身体をつくり、未来につながる、「食」。これからも、さまざまな企業・団体のみなさんからご支援をいただきながら、よりよい食体験を届けていきたいと考えています。
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