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2023.08.22

【親子の支援を語ろうキャラバン】第2回は長野県で実施! 「困ったときはおたがいさま」と言い合える社会づくり。

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こども宅食応援団は、親子のつらいを見逃さない社会にするため、「こども宅食」が全国各地で実施されるよう、日々活動しています。2018年末から始動し、たくさんの地域で実施の広がりを見せ、今年の春、全国で実施する団体数は38都道府県、108団体となりました。

今年度は、親子の支援に携わる地域の団体がつどい、語り合い、〝地域みんなで親子を支えるつながり〟を深める取り組みとして「親子の支援を語ろうキャラバン」を企画。2023年7月20日に第2回目として、長野で開催された様子をレポートします。

親子の支援を語ろうキャラバン https://hiromare-takushoku.jp/2023/06/08/5622/ 

日時・内容 2023年7月20日(木)14時~16時

プログラム

第一部 こども宅食応援団事務局より、「こども宅食とは?」(30分)
第二部 地域の実施団体より、「こども宅食の事例紹介」(30分)
第三部 参加者による「座談会」(60分)

会場 長野自治会館 第一特別会議室(長野市西長野町143-8)

物価高の夏休み、どのように家庭の支援を行うか        

多くの小学校が夏休みに入る時期に開催された、長野でのキャラバン。

歴史的な物価高が続く中、おおよそ一ヶ月にわたり学校給食が無い期間、生活が苦しい家庭をどう支えるのか、子育て支援団体などは、高い課題意識をもって取り組んでいます。この日、県自治会館には親子の支援に関心をお持ちの社会福祉協議会の関係者や、長野市で福祉活動を実施する方々など、約20人が集まりました。

第一部では、こども宅食応援団理事の原水から「こども宅食」について、活動概要をお話しました。こども宅食を「知っている」とお答えくださった方も多くいましたが、この日、原水が語った「こども宅食のねらい・スキーム・取り組む社会課題」など、熱心にメモをしながら耳を傾けていらっしゃいました。

こども宅食は、食の支援をきっかけとした、地域の親子と社会をつなげる活動であることがポイントです。定期的な訪問をかさねながら、少しずつ関係性を築き、家庭の変化に気づき、必要時には社会資源とのつながりをつくることで、経済的に厳しい家庭の孤立の解消を目指します。

――NHK「こども宅食でつながる 困窮する子育て世帯を支えるアウトリーチ活動」

こども宅食事例紹介は長野市のNPO法人「えんまる」    

第二部では、長野市のNPO法人えんまるの「こども宅食えんまる便」共同代表の岩間さんが、立ち上げの経緯、こども宅食をどのように行っているのかについてを、丁寧にお話してくださいました。

えんまるの活動は、2018年に立ち上げられた訪問型病児保育がはじまり。毎年延べ100家庭以上にご利用いただく活動をしながら、「助けて」と言えない親子と出会ってきました。特に2020年コロナでより厳しくなったご家庭の状況を見て、なんとかしたいという思いひとつで、2020年に立ち上げたのが「こども宅食えんまる便」。「一見支援に見えない、食品のお届けがフックになることで、支援のハードルが下がった」と語ります。

――事例紹介のスライドより抜粋

岩間さんは、親子支援の活動をする中で、SOSの声をあげられない、公的機関や地域の居場所などでの支援にたどり着けないご家庭があると言います。その要因は、ご家庭によってさまざまですが、大きく4点になると述べます。

・自分から相談することができない場合
・生活に困っていることを周囲に知られたくない
・自分の弱みなどを根掘り葉掘り聞かれたくない
・とにかく忙しい、相談窓口や支援について、調べることも難しい

そのような一人親のご家庭に対して、周囲に知られない形で食材をご自宅にお届けするのが、えんまるのこども宅食だと語りました。

開始直後から、農産物生産者・食材企業などからたくさんの食材をご提供いただいているえんまるでは、皆さんからの食材を「ギフト」や「プレゼント」として、支援いただく皆さんのあたたかいお気持ちと一緒に、ひとり親家庭に繋いでいます。
丁寧にお渡しすることを大切にしており、この取り組みは、食品企業さんにもとても評価をいただいていると語ります。「今まで段ボールで渡していたのが当たり前だったのに、えんまるさんは自分たちの商品をとても丁寧に大事に扱ってくれて、そんなところは今までになかった。食品を作る自分たちとしてはとても嬉しいし、ありがたいです。」と、食材提供してくださる企業さんとの信頼関係も深くなっているとのことです。

――スライドより抜粋

また、えんまるのこども宅食は、県立大学のこども学科さんのプレイルームをお借りし、学生の皆さんと一緒に楽しく、梱包作業をしていることも特徴です。大学構内で、食材等の梱包をみんなで一緒に行い、ひとり親家庭のお子さんのお誕生日にはこども学科の学生さんがお菓子のラッピングとメッセージカードを作成し、配送時に一緒にお渡ししているそうです。

嬉しいエピソードとして、このような声を寄せていただいたと述べました。

「いつものカゴいっぱいの食材に加えて、今月は県立大学の学生さんからのお誕生日のカード&プレゼント!長女がとても喜んでいて『わー、嬉しい!絶対になくしたくない!』と宝箱にしまっていました。私は感動して涙してしまいました。色々な大変な事が続いていますが、こんなサプライズで心が温まり、明日からも頑張ろうという気持ちになりました。」  

――クリスマス配送では、ホールケーキも!

「だいじょうぶ、ちゃんと見守っているからね。」
学生さん達のそんな思いが、ひとり親家庭のお母さん、子どもたちにとって、大きな力に、そして支えになっていると岩間さんは語りました。
こども宅食えんまる便 公式サイト

第三部 参加者が輪になって語る座談会   

この日、冒頭で話題に上がったのは、長野県社会福祉協議会による「どこでも実家宣言」という今年5月に始まった取り組み。

児童養護施設を卒園し、身寄りのない若者たちに、悩みを気軽に相談できる「実家」のような場所が、身近にあるということを知ってもらおうというものです。地域で子ども・若者を支えながらみんなで育んでいくため、社会福祉協議会が持っている様々な役割を知ってもらい、子育て家庭や若者たちに温かいメッセージを送ります。

市町村社協は、若者たちの相談場所となり、ボランティアや就労体験をサポートしながら、頼れる実家のような安心感をもたらす機能を発揮します。この宣言は、生きづらさを抱えた若者への相談窓口の紹介をはじめ、児童養護施設との連携の強化、若者の居場所になる子ども食堂の支援など6つの取り組みを誓う内容です。現在、県社協と茅野、上田、佐久、飯山、中野の五市と松川、売木の二村の社協が参加しています。

長野県社会福祉協議会「どこでも実家宣言」

また、子ども食堂にこれない困っている方と、まずはつながる手段としてアウトリーチの有効性を述べる方もいらっしゃいました。
「『社会課題』は、川上の問題と川下に来る問題はまったく異なる。川下に来た問題に取り組んでいるだけでは、どうしても解決するのが難しい場合が多い。そういう点でも、こども宅食のように地域と家庭のつながりを作る手段があること、選択肢があるというのが大切だと思う」と語られる場面も見られました。

就労支援員や、福祉事務所で自立支援員を担当されている方も、えんまるの活動には興味深そうに聞き入っていました。民間の食品企業や、長野市内だけではなく県内、県外のお寺からも食品を寄付していただきながらひとり親の支援をしているお話にも質問が相次ぎ、まさに「つながり」を大切にしている長野の皆さんならではの「困ったときはおたがいさま」と言い合える社会づくりをしたいという温かな思いを感じることができる時間でした。

「つらい状況にある親子をなんとかしたい」という想いで、親子の支援に携わる団体がつどい、親子を支えるつながりを深める、こども宅食応援団による対話イベントは、まだ2回目が実施されたばかりです。全国10ヵ所を、こども宅食応援団のメンバーが訪れ、地域の皆さんと直接お会いして、地域のみんなで親子を支える社会をつくるためには?という対話を重ねてまいります。

次回は、8月29日に大分県で実施予定です。

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